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EAST JAPAN BLOC 東日本ブロック
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JIDA東日本ブロックニュース~2026年4月号〜


 

【2026年4月号目次】

1:全国ブロックだより

2:東日本ブロック新入会員紹介

3:おすすめ展示会&イベントのご紹介

4:コラム

5:編集後記

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【1:全国ブロックだより】(西日本ブロック 弥中敏和)

西日本ブロックの弥中(やなか)です。
当ブロックは対象エリアも広く(岡山以西~沖縄まで)会員も少数単位で散在するため、ブロック運営のマンパワー不足が積年の悩みです。
とはいえ、ブロック運営委員会は定期的に開催するので、これを拡大してプチイベントにしてしまえ、ということにこの2年くらい務めています。

JIDA外の方を招いて交流することが通常でしたが、気づいてみれば身内(運営委員)の話しも深く聞いたことがない・・・。ということで、当委員では一番の先輩、田中宏樹氏に改めてご自身のデザイン人生を振り返る講演をお願いしました。
工業デザイン自体が日本のなかでもさほど認識されておらず、ましてや地方都市におけるデザインの理解が全くなかった頃からの孤軍奮闘ぶりをお察しするに、これは個人の想い出に留めず、後世に伝えるべきことではないかと思い当たっての企画でした。

田中氏は1966年に金沢美術工芸大を卒業後、アルミ建材メーカーや東京の先鋭デザイン事務所でキャリアを積んだ後に、ご出身の広島でほぼ最初のインディペンデント工業デザイン事務所を開設されました。その当時の広島には独立事務所で受ける工業デザインの仕事などは皆無で、デザインよりも営業に徹する日々を送られたそうです。しかし田中氏はこれに屈することなく、むしろ営業ツールや納得感のあるデザイン費の算出法の開発、そして何と言っても当協会をはじめとする様々なデザイン団体活動への参画に力を注ぎながら、まさに当地で「デザイン」をデザインした、と振り返られるお話しを伺えました。

身近に頼りになる仲間がいない環境のなか、ひとりの生計を立てること以上に工業デザイン自体の普及に邁進して来られたのは、氏の謙虚で人間想いの性格に拠るところも多いでしょうが、私はこの講演を聴いて、将来の希望のやりどころがなかった氏が高校時代に出会った「デザイン」という光明に、いつまでも惹かれているからに思えました。通っていた工業高校の図書館で偶然手に取った「料理秤(はかり)」の製造過程を記した本。工業とデザインの活き活きとした共存の姿は、若き田中氏に並み成らぬショックと生きてゆく希望を与えたそうです。
そんな氏も事務所を開設して42年間、多様なデザイン成果を生み、大部分が当地で工業デザインに係わる際に避けて通れない事例となっています。
2019年に閉所されましたが、今でも当協会には係わってくださっています。

当協会には、自己の利害を超えて世の中に貢献したい指向の会員が多いと感じていますが、それは何となく感じるのではなく、こうした先輩が実際に築いた気風なのだと改めて気づかされる機会となりました。デザインへの理解が乏しかった時代を経験したからこそ、高い理想を持ち続けられているような印象もあり、我々以降の世代にとっては考えさせられるところも多かったです。あえて苦言を言わせてもらうとすれば、謙虚が勝って自身のことを多く語らない先輩たちが多い。これを責めるのではなく、語ってもらえる環境をつくることも協会の重要な役目ではないかと思うに至りました。

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【2:東日本ブロック新入会員紹介】(東日本ブロック 安原 七重)

当コーナーでは、東日本ブロック会員同士の顔が見えるメディアとして、最近入会された方を中心に、入会時期をさかのぼりながら会員の皆さまをご紹介していきます。
本コーナーをきっかけに、会員の皆さま同士の交流がより深まれば幸いです。

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■有泉 伸一
主な分野:「いづみや」~「Too」~「トゥールズインターナショナル」にて38年間、デザインの傍らで仕事をしてきました。現在は広義の編集者として、デザインメディア「TD」や対話イベント「Neuron」で重ねてきた経験から、人と人、思考と現場の縁を綯う活動をしています。
申込動機:長くデザインの現場の近くで仕事をするなかで、多くの学びとご縁をいただきました。今度はその恩を、業界や次の世代へ手渡していきたいと考え入会を希望しました。編集と対話を通じて、デザインの価値を社会へひらく一助になれれば幸いです。
活動希望:渉外委員会を始めとする、技能五輪やADA国際学生ワークショップ、各種セミナーなど、若い世代が国や領域を越えて出会う機会づくりに関わりたいと考えています。 人と人の縁を静かに綯い、その先に生まれる関係を見守れれば嬉しいです。
E-mail:ariizumi1822@jida.or.jp

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【3:おすすめ展示会&イベントのご紹介】(東日本ブロック 大喜多 一範)

■d design travel EXHIBITION 2026
開催期間:2026年3月20日(金)〜 6月21日(日)
開館時間:12:00~20:00 (最終入館19:30)
休館日:6月9日(火)~ 6月10日(水)のみ休館します
入場料:ドネーション形式(会場受付) 
会場:d47 MUSEUM(渋谷ヒカリエ8F)
公式サイト:https://www.d-department.com/item/DD_EVENT_67235.html
開催概要:D&DEPARTMENTが発行する『d design travel』は、2009年の創刊以来、35都道府県、海外2都市を刊行してきました。17年を経たいま、編集部は「デザインの視点で地域を見る」ことの必要性と、本書の価値をあらためて問い直しています。

■生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ
開催期間:2026年4月15日(水)~ 7月6日(月)
開館時間:10:00~18:00 毎週金・土曜日は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで
休館日:毎週火曜日 *ただし5月5日(火・祝)は開館
入場料(当日):2,200円(一般)、1,800円(大学生)、1,400円(高校生)
入場料(前売):2,000円(一般)、1,600円(大学生)、1,200円(高校生)
会場:国立新美術館 企画展示室1E
公式サイト:https://www.nact.jp/exhibition_special/2026/hanaemori/
開催概要:国立新美術館では、アジア人で初めてパリ・オートクチュール正会員となり、日本のファッションを牽引した森英恵の没後初となる回顧展を、生誕100年を迎えた2026年春に開催いたします。
1950年代にキャリアを開始した森英恵は、当初、映画衣装の制作を通じて頭角を現すようになります。戦後の高度経済成長期の日本において、家庭を持ちながらデザイナーとして社会的にも大きな仕事を成し遂げる姿は、新しい女性像の先駆けとして注目されるようになりました。そのような中で森が1961年、雑誌『装苑』にて新たに提唱したのが「ヴァイタル・タイプ」という人物像です。快活で努力を惜しまないその姿は、森のその後の生き方とも大きく重なるものでした。1965年にはニューヨークコレクションにデビューして以降、日本のみならず晩年まで世界を股にかけて活動を続けました。
本展はオートクチュールのドレス、資料、初公開となる作品を含む約400点を通じて、森のものづくりの全貌を明らかにします。デザイナーとしての表現だけではなく、生き方とその創造の根幹にまで迫るまたとない機会となるでしょう。

■拡大するシュルレアリスム 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ
開催期間:2026年4月16日(木)~ 6月24日(水)
開館時間:11:00~19:00(入場は18:30まで) 
入場料:一般 1,800円[1,600円]/ 大・高生 1,100円[900円]/ 中学生以下無料
会場:東京オペラシティ アートギャラリー(ギャラリー1、2)
公式サイト:https://www.operacity.jp/ag/exh297/
開催概要:シュルレアリスム(超現実主義)とは、理性によって分断された世界を乗り越え、新しい現実を求めようとする芸術運動です。1924年にアンドレ・ブルトンが定義づけ、無意識や夢に着目したフロイトの精神分析学に影響を受けた文学運動として発生しました。どこか違和感がある風景や夢の中のような幻想的雰囲気など、 シュルレアリスムの表現に一定の傾向を見出すことも可能ですが、シュルレアリスムとは表現の様式をいうものではなく、世界の変革をめざすことを共通の精神とした、あらゆる創造行為をさしています。そして、「日常を変える」ことと「世界を変える」ことをひと続きに捉えていたシュルレアリスムは、芸術の内部にとどまることなく、雑誌や広告、ファッション、室内デザインといった日常に密接した場面にも広がっていき、社会全体に影響をもたらしました。
シュルレアリスムが提示した新たな視覚表現とその広範な影響は、誕生から約100年を経た現代においてもなお新鮮な驚きとともに受けとめられています。
本展覧会は国内に所蔵されている多様なジャンルの優品を一堂に集め、社会全体へと拡大
した新しいシュルレアリスム像を示します。

■Bang & Olufsen 100周年記念展「Beautiful Sound and Design - バング & オルフセンが紡ぐ美しい音とデザインの100年」
開催期間:2026年4月3日(金)~ 4月12日(日)
開館時間:11:00~19:00 (最終日のみ17時まで)
入場料:無料
会場:表参道ヒルズ B3F スペース オー
公式サイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000053.000080325.html
開催概要:Bang & Olufsenは、デンマーク北部のストルーアでピーター・バングとスヴェン・オルフセンによって1925年に設立されました。ふたりの創業者のイノベーションの精神は1世紀にわたってブランドに引き継がれ、卓越したサウンドと美しく洗練されたデザインが融合する、暮らしや空間に寄り添うプロダクトを生み出し続けてきました。
本展では、Bang & Olufsenの各時代を象徴するプロダクトやデザイナー、広告・ビジュアル表現を通して、機能性と美意識を両立させてきたデザイン思想を紹介します。新旧プロダクトの展示やリスニング体験、クラフツマンシップに焦点を当て、100年にわたるブランドの美学とその現在地を多角的に紐解きます。実際にスピーカーやヘッドホンを体感できる試聴スペースなども設けます。また、100周年を記念し2026年5月に刊行予定の書籍の先行販売や、本展オリジナルグッズの販売も予定しています。


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【4:コラム:モノの「らしさ」とニヤニヤする旅】(中部ブロック 岡田 心)

モノを所有するということについて、改めて深く考える一年でした。
きっかけは、ある学生との卒業研究です。一年かけて正解のない道を探る卒業研究において、私はアドバイスをするというより、一緒に旅をするような感覚で学生達と向き合っています。「このルートで行ってみようか」「少し戻ってみようか」「ちょっと寄り道しようか」、、、、。そのように試行錯誤を繰り返すなか、ある学生と「持ち物」について話が盛り上がり、私たちの旅が始まりました。

そもそも、なぜ私たちはそのモノを持っているのでしょうか。 身の回りを見渡すと、必ずしも自分の「好み」だけで選んだモノ達ばかりではありません。贈り物や、昔から家にある物、家族の持ち物など、自分以外の意思が介在するケースは多々あります。学生との対話を通じて、道はさらに深いところへ逸れていきました。「自分らしさ」とは一体何なのか。自らの意思で購入したにもかかわらず、客観的な自分の好みとは異なるモノが、実は身の回りに溢れていることにフォーカスがあったのです。

例えば、私のカバンの中にある財布。私のイメージとは少し違う、可愛らしく華やかなモノです。なぜこれを使っているのかといえば、大学時代の親友が沖縄で立ち上げたブランドの製品だから。友人の活躍が誇らしく、ついニヤニヤしながら愛用しています。今履いているボトムスも、知り合いの染め職人が染めている製品だから。その仕事ぶりを思い、やはりニヤニヤしながら身に纏っています。財布の中には、家族旅行で一緒に購入した可愛いネズミのコインが入っています。支払いの際には「邪魔だな」と思うこともありますが、そのたびに思い出しニヤニヤしています。お気に入りのスマホケースには、隙を見せた私に娘がイタズラで貼ったプニプニのシール。
私の趣味ではありませんが、その感触を楽しみながら、娘の顔を浮かべて「それも良し」とし
てプニプニしながらニヤニヤと楽しんでいます。

足元に目を向ければ、フットサルはしないのにフットサルシューズを履いています。これは卒業生から「初めてデザインしたシューズが出ました!」と報告を受け、嬉しくて購入しニヤニヤしながら履いています。仕事で使うグリーンの印鑑も、別の卒業生がデザインして贈ってくれたものでニヤニヤと書類にポチッとしています。真面目な会議で使う少し風変わりなペンも、「ぜひ会議で使ってください」と学生が持たせてくれたもので、真面目な会議もニヤニヤを忘れずに過ごせています。

気がつけば、私の身の回りにあるモノたちは、私個人の好みだけで完結しているのではなく、私の「大切な人たち」との繋がりによって構成されています。「自分らしさって、なんだろう?」 そんな問いから始まった、学生との卒業研究。自分らしさの追求に明確なゴールまでは見せず、アウトプットもまだ途上の段階かもしれません。しかし、春から日用品メーカーのデザイナーとして歩み出す学生にとって、悩み抜いたこの時間は、何物にも代えがたい糧になったはずです。そんな学生の悩む姿を隣でニヤニヤしながら見守り一緒に旅できたことは、私にとっても非常に幸せな時間でした。

モノとの関係が深いプロダクトデザイナーとして、これからもモノに込められた意味を、ニヤニヤと楽しみながら、色々な人たちと一緒に旅を続けていきたいと思います。

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【5:編集後記:新たな広がり】(東日本ブロック 安原 七重)

今月から「全国ブロックだより」のコーナーが始まりました。昨年のアンケートでも、他ブロックとの連携を望むご意見をいただいており、全国のブロックの活動内容や情報を持ち回りでご紹介いただくことになりました。
東日本ブロックに限らず、横のつながりが広がっていくことを期待しています。
どうぞお楽しみに!

 

 


■お問い合わせは、JIDA事務局まで

  公益社団法人 日本インダストリアルデザイン協会
  Japan Industrial Design Association/JIDA
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  Phone : 03-3587-6391 Facsimile : 03-3587-6393
  E-mail : jidasec@jida.or.jp
 JIDA東日本ブロックE-mail : jida-east@nifty.com
  URL : https://www.jida.or.jp/

 

配信日時: 2026/ 4/ 1