JIDA東日本ブロックニュース~2025年12月号〜
【2025年12月号目次】
1:活動レポート(福島第一原発視察ツアー)
2:東日本ブロック新入会員紹介
3:おすすめ展示会&イベントのご紹介
4:コラム
5:編集後記
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【1:活動レポート ふくしま第一原発見学ツアー】(東日本ブロック長 佐野 正)
9月30日、JIDA主催で福島第一原発見学ツアーを実施しました。施設内は撮影が全面禁止されており、見学時には所持品をすべて預ける必要があるため、ビジュアルで詳細をお伝えすることはできません。しかし、案内役の東電スタッフが撮影してくれた数枚の写真と、参加者の感想、そして私の拙い言葉ではありますが、見学の様子を報告いたします。
この見学ツアーは、実施までに約1年の予約が必要で、世界中から申し込みがあり、現在も約1万人が予約待ちしている人気の社会見学プログラムです。今回は「ホープツーリズム」を運営する公益財団法人福島県観光物産交流協会を通じ、JIDAとして団体申込みを行うことで参加が実現しました。
事前にメディアやWebで情報を得ていたものの、実際に破損した原発事故現場を、防護服なしで数十メートルの距離から目の当たりにした体験は、想像をはるかに超えるものでした。事故被害の実態、過去から現在、そして未来へと続く長い時間軸、多くの人が関わり続けている現状を強く実感し、負の遺産がいまも進行中であることを深く理解する機会となりました。
東電スタッフの説明は、まず謝罪から始まり、施設概要や修復計画についても非常に丁寧で分かりやすいものでした。安全に解体を完了させるには、計画上は数十年とされていますが、実際には数百年規模になる可能性もあるのではと想像できます。
言葉では表現しきれませんが、例えるなら、ニューヨークのグラウンド・ゼロや広島の原爆ドームを訪れた際に抱いた感覚に近いものがあります。原子力という目に見えない力は、適切に活用されている間は恩恵をもたらす一方で、極めて高いリスクを伴い、廃炉や廃棄物処理といった後処理方法も確立されていません。事故前後の現場に残る見えない放射線を想像しながら、今後のエネルギー課題について誰もが向き合わざるを得ない場所だと強く感じました。
原発見学後は、地元観光協会スタッフの案内により周辺地域をバスで巡り、復興状況の説明や新たに店舗をオープンした方々との対話など、フィールドワークを行いました。震災の傷跡がなお残る場所もあり、震災から14年が経過した今も続く複合災害の影響を学べる、大変貴重な体験となりました。
JIDA東日本ブロックでは希望者が多ければ再訪を企画します。ご希望などお聞かせいただければと存じます。

JIDAウェブサイトに参加者の皆さんの感想を掲載していますので、ぜひご一読ください→フクイチ見学ツアーレポート
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【2:東日本ブロック新入会員紹介】(東日本ブロック 安原 七重)
当コーナーでは、東日本ブロックの会員の顔が見えるメディアとして、新入会員の方をご紹介していきます。今後ぜひ会員のみなさまとの交流を深めていただければと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

■劉 暢
勤務先: 福州大学廈門工芸美術学院
主な分野: 現代技術を駆使し、漆の活用をはじめ、伝統工芸のポテンシャルを引き出す研究
申込動機:日中両国での仕事経験を活かして、日中デザイン業界と教育界の一本の架け橋になりたいと考えます。貴会の活動によって、自分がデザイナーと教師としての新たな発見と勉強も得られると思います。
活動希望:日中両国に関する事業やイベント、デザイン案件や教育関係の国際交流などに参加したいと考えています。
E-mail: weatherqing@gmail.com
所属先HP:https://art.fzu.edu.cn/

■宮内 秀明
勤務先:memori DESIGN & METHOD
主な分野:プロダクトをメインとしたクリエイティブワーク全般、ブランド構築、事業促進サポート等
申込動機:JIDAの活動に触れ、学びや情報共有を通じてより広く深く顧客の想いに応えられればという思いから。
活動希望: デザインにより生まれる価値の社会実装から希望的将来像の実現化につながるような活動ができればと考えています。
E-mail:h.miyauchi@memori.jp
所属先HP:https://memori.jp/
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【3:おすすめ展示会&イベントのご紹介】(東日本ブロック 大喜多 一範)
■六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠
開催期間:2025年12月3日(水)~2026年3月29日(日)
開館時間:10:00~22:00(火曜日のみ17:00まで。ただし、12月8日(月)は17:00まで、12月30日(火)は22:00まで。最終入館は閉館時間の30分前まで)
入場料:
[平日]一般 2,000円(1,800円)、学生(高校・大学生)1,400円(1,300円)
中学生以下 無料、シニア(65歳以上)1,700円(1,500円)
[土・日・休日]一般 2,200円(2,000円)、学生(高校・大学生)1,500円(1,400円)
中学生以下 無料、シニア(65歳以上)1,900円(1,700円)
※2025年12月29日(月)~2026年1月2日(金)は、[土・日・休日]料金となります。
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
公式サイト:https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/roppongicrossing2025/index.html
開催概要:
「六本木クロッシング」は、森美術館が3年に一度、日本の現代アートシーンを総覧する定点観測的な展覧会として、2004年以来、共同キュレーション形式で開催してきたシリーズ展です。第8回目となる今回は、森美術館のキュレーターに加えて国際的に活動するアジアのゲストキュレーター2名を迎え、「時間」をテーマに、国籍を問わず日本で活動する、もしくは日本にルーツがあり海外で活動するアーティスト全21組を紹介します。
出展作品には、絵画、彫刻、映像はもとより、工芸、手芸やZINE(ジン)、さらにはコミュニティプロジェクトも含まれます。建築、デザインの領域を越え、国際的に高い注目を集めるA.A.Murakami の没入型インスタレーション。海外のメゾンとのコラボレーションでも話題の桑田卓郎の圧倒的な造形美を放つ色彩鮮やかな大型の陶芸作品。自身の声や環境音を用いて作品を制作し、舞台作品なども手掛ける細井美裕の新作サウンド・ピース。近年、国内外で高い評価を得ている沖潤子の、繊細な手仕事から生み出される抽象画のような刺繍作品など、多様で多彩な表現が一堂に会します。
本展の副題「時間は過ぎ去る わたしたちは永遠」が示すのは時間の貴さと儚さ。各作品に現れるさまざまな時間の交差をとおして、日本のアートを多角的に見つめ直します。
■『Hakuten Open Studio 2025』
開催期間:2025年12月10日(水)~12月13日(土)
開館時間:10:00~18:00(最終日は17:00終了)
入場料:無料
会場:東京都江東区辰巳3丁目13−25 (株)博展 T-BASE(制作スタジオ)
特設サイト:https://hos.hakuten.co.jp/2025/
開催概要:
“人と社会のコミュニケーションにココロ通わす体験をつくる”株式会社博展(本社:東京都中央区、代表取締役社長:原田 淳、以下、博展)は、1年間のクリエイティブ活動の集大成を公開するイベント「Hakuten Open Studio 2025」を2025年12月10日(水)~13日(土)の4日間にわたり、博展の共創拠点T-BASE(東京都江東区)にて開催することを決定いたしました。
本イベントは「体験をデザインすること」を軸に、博展が2025年に手がけた実績から、普段は表に出ない実験的な取り組みまでを公開するものであり、4回目の開催となる今回は初めて、一般の方も入場できるオープンなイベントとして開催いたします。
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【4:コラム】(東日本ブロック 髙橋正実)
この秋『Compasso d’Oro International Award』を受賞致しCompasso d’OroとJIDA Design Museum Selectionの共通点を感じました2025年。
今年1月「JIDA Design Museum Selection Vol.26」選定をみなさまより頂き、JIDA入会のきっかけともなりました「Physical Care Robotic Bed “HANARE”」のデザインとコンセプトで9月5日「金のコンパッソ・ドーロ賞(Compasso d’Oro International Award)」をいただき、大阪・関西万博イタリアパビリオンでの授賞式に出席致して参りました。そしてこの執筆後12月にミラノでの授賞式へ再びご招待をいただきまして、これから出掛けて参りますm(_)mJIDA古株の谷村さん(谷村さんはノリタケ社最高級ラインをノリタケデザイン当時のトップ加藤さんと共にご担当されました方です。←谷村さんはお仕事でのご活躍のお話はされていらっしゃらないのではないかと思い、こちらにご紹介もさせてくださいm(_)m)よりご推薦を丁寧にいただき、委員会で� �Museum Selectionにて審査員を担当させていただきましたm(_)mその中で、JIDA Museum SelectionとCompasso d’Oroは様々な面でとてもよく似ているなと一人勝手に今年感じ、そしてそれはとても素敵なことと思いましたのでここに触れさせていただけましたら幸いですm(_)m
お話は最初少し、自身デザイナーを志しましたきっかけのお話から順に、Compasso d’Oro、JIDA Museum Selectionへとさせてくださいm(_)m
元々自身は、日本のものづくり産業や地域活性化などへ幼い頃より想いがあり十代にデザイナーを志しました。そこには、「仕事とは社会のため」という意識を幼い頃から親より聞いて育ちましたので(その感覚は、両親共にその昔武士でした家同士の環境ですので、自身とても自然でした)、十代の頃に「社会の問題解決(社会課題の解決)としてのデザイン」という概念が自身の中で出来上がりましたこともとても自然な流れでした。そこで自身のデザイナー人生ははじまったのですが、当時はそのような、社会課題の解決としてのデザインなどという話はデザイン界で致しますと反応とても悪く、「デザイナーがなぜ社会などと言うのか?それは政治家の仕事」など散々に云われました時代を当時経験もいたしてきました。尊敬す� �デザイナーは?と聞かれ、後藤新平氏やレオナルド・ダ・ヴィンチ氏の名を社会や未来という視点で口に出しますと、まるでトンチンカンな受け答えをしている人物かのような反応をされてしまっていることを自身でとても感じます時代でしたので、その後は、多くの人がデザインと社会を結びつけ考えることを仕事の上で自然とします時代がやって来ます未来を真剣に思い、様々なところで語り、執筆などもいたしながら、3.11以降、SGDs等の言葉等々にはじまる社会問題を解決しようとした意識が国内で広がります時代が来ますまでは、日常が社会デザインという日々を日本では独り歩んでいたのですが、イタリアでは既に、レオナルド・ダ・ヴィンチ氏の時代から、国の感覚や哲学としてそうした意識や学びがありましたようです。
Compasso d’Oroでは正に、そのようなレオナルド・ダ・ヴィンチの時代からの道筋や語りがあり、自身、デザインの可能性への考え方として、大変近いものを感じさせていただいております。
Compasso d’Oroでは、イタリア産業や地域、未来創造への総合的なデザインで、国の代表の方もデザインを語り、自身デザインのPhysical Care Robotic Bed につきましてもまた、みなさんにそうしたベースがあるので、多くの内容を詰め込み未来を描いていますことを一瞬にして読み取って下さり、骨太の社会デザインへ、お会いして突然お話で繋がることが出来、様々なことを一気に飛び越え目的地点で盛り上がることが、授賞式でできたのです。それはお互いに国という枠を超え一瞬にして繋がった喜びで、大変喜ばしい出逢いの時間でした。
Compasso d’Oro授賞式は、ヨーロッパらしい讃え合うという文化を持ち、ここにいる者はみな家族なのだという空気と、安心感で、精神性を共有出来る仲間として迎え入れられていることが伝わってくる時空間でした。ですので、多くの受賞者が一度に大勢登場されます他のアワード達とも全く異なりましたところも、JIDA Design Museum Selectionと大変似ていると思う点で、JIDA Design Museum Selectionは日本のCompasso d’Oro的な存在ではないか、と思いましたのでした。授賞式にはイタリア大使の方等も出席し、今回のCompasso d’Oroのテーマですと、昔自身掲げました、健康的な未来社会の創造、ウェルビーングという概念での未来が繋がりました、技術科学(ものづくり)とデザインの融合が導く未来への羅針盤としての役割による配慮のレベル を人類概念的に自然に上げることへの設計、このロボットの役割と放つ中身の意味までを読み取ってくださり、共有をいただけている段階からお話が出来る、他でなかなかございません場であり、人類を超えるような真に感激の場、なのでした。
経緯やオブジェクトの完成と成長、全体主義もプリティカルに表現すること、それらを含め深く、単純ではない多くの複雑に絡み合うこともシンプルにデザインでまとめ考え見せますこともまた、イタリア政府代表の方はじめみなさんと会場で共有することが出来る、お互いの哲学に一瞬にして出逢い分かち合え、人類として未来を語り、通じ合えるという、感動的な出来事として感じ合うことが出来る素晴らしい共有の受賞の場なのでした。
そして、と同時にJIDA Design Museum Selectionもまたそうした存在であってほしい、そういった場なのではないかとも自身願い、想いました。
永久保存もその時代の記録であり、未来の人類のために繋ぐ意識と行為の現れそのものです。それを、Compasso d’Oroでは長い歴史の中で、「ADIデザイン・ミュージアム・コンパッソ・ドーロ」を2021年に開館しスタートさせています。
展示されていますものは、開館20年前より、ADIによりコレクションされてきたとのことで、正にJIDA Design Museum Selectionへと自身は想いが繋がってゆきました。
そしてそれらは、イタリア文化省によって、「他例をみない芸術的および歴史的関心を有するもの」と認定され、国家遺産の扱いとされているとのこと。
自身も12月、永久保存となりました展示のお披露目に合わせ、ミラノでの式典へご招待をいただいているので、この経験を、JIDA Design Museum Selectionへいかしてゆけましたらとも思いましたm(_)m
Compasso d’Oroはイタリアを応援し、その時代の記憶を保管し未来の人類へと繋ぐ存在であると自身は認識し、JIDAもそうであれば素敵だななど自身思いながら、Compasso d’OroとJIDA Design Museum Selectionに共通のものを様々思っています。
Compasso d’Oroは受賞であり、JIDA Design Museum Selectionは認証ですが、向かっているところは限りなく近いのではないか、と。
個人的な賞や選定でなく、その目的は「人類のため」ではないかと、自身普段、国・行政・企業・産業の未来構想やPurpose設計等を10代の頃より30年以上(弊社創業年からは28年)広く捉えましたデザインで「社会のデザイン」として仕事で行って参り、幼少期からの筋金入りの社会を想います社会デザイナーの自身、長くデザインで社会と共にデザインの道を歩んできました中で、自然とそう思うのでしたm(_)m
9月、大阪・関西万博イタリアパビリオンでの一度目のCompasso d’Oro授賞式の空間は、ご家族で授賞式に参加される受賞者のアットホームなイタリアらしい空気、と同時に骨太なイタリア国の、産業・Compasso d’Oroの歴史の上でこその信頼を深く感じられる、その場で出逢ったばかりの世界中から集まった者同士でも、そこにいるからこそ、信頼を一気に共有出来受賞を讃え合う場と精神がありました。それは、社会を想う者同士が集まっているという、人類を想い考えた人々が集まる、何だか安心できる、心温まるリラックスした気持ちにもなれる場でもあり、これまでのアワード授賞式経験とは異なるものを感じ、それを、アワードの意義から考えましてとても素敵だなと思ったのでした。
12月9日ミラノでは自身二度目の授賞式へ参加して参りますので、日本人として、イタリアでこれまで活躍された日本人デザイナー達への敬意やその歴史も踏まえ、ミラノではお話を致して参りたいと思っています。
またどこかで、ご報告などできましたらと思います。
ここまで、Compasso d’Oroから、JIDA Design Museum Selectionを想う、個人的な活動?のご報告でした。
◎そして最後に。
私はイタリア語は全くで英語も片言でだめだめですので、難しい?デザインの解説をいたしますのには通訳の方を頼らせていただくことになります。
そこで今後、JIDAやどこかで、信頼できます通訳の方をご用意くださるような仕組みがもしありましたら、大変嬉しいなと思いました。デザイナーがこれから海外でも仕事をしやすくなるためにとも思っております。
そして年の瀬、みなさまお忙しい時期かと思いますが、どうぞお身体暖かくされてお過ごしくださいますように。みなさまどうぞ素敵な年末をお迎えくださいm(_)m

画像左から:大阪・関西万博イタリアパビリオン内での授賞式会場の様子 / ADI、イタリア政府代表のみなさん / 自身受賞の時の様子。

画像左上から右下へ:この度「金のコンパッソ・ドーロ賞」受賞をいただきましたロボット「Physical Care Robotic Bed “HANARE”」のデザイン とコンセプト等が、ADI、Compasso d’Oroより紹介されましたものです /パビリオンの中の光を、いただいた金のコンパスへ反射させ、今この時代、を感じて東日本へ持ち帰りました / フィリップ・スタルク氏の受賞内容/ ピエロ・リッソーニ氏の佳作を受賞されました内容。

大阪・関西万博イタリアパビリオン内Compasso d’Oro展、御披露目式典。

授賞式に出席した娘と自身。
画像提供:Expo 2025 Osakaイタリア/ADI Compasso d’Oro/個人 |
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【5:編集後記】(東日本ブロック 安原 七重)
12月になると、アドベントカレンダーの扉を開けるのが小さな楽しみです。今年は会社のみんなで味わえるよう、チョコの入ったものを一つ買いました。毎日扉を開けてチョコを味わう権利はルーレットで決めます。さて、たくさん食べられるのは誰?
振り返ると、今年はAIの急激な台頭がデザインの現場に大きな影響を及ぼす一年になりました。 AIに仕事を奪われるのではないか、私たちはどうAIを活用し向き合うべきか、ということを真剣に考えさせられました。 AIが案を大量に生む時代に、私たちは「どれを選び、どんな意味を持たせるか」という役割をより強く担うようになったと思います。 一方で、プロダクトもUI/UXも境界が薄れ、体験全体を見る視点がより必要になりました。個人の専門性を高め、お互いをリスペクトしながらチームでものづくりに取り組むことも、人間性の価値だと思います。
アドベントカレンダーの小さな扉をひとつ開けるように、来年も仕事の中で静かに境界をまたぎ、予想外の出会いにワクワクしながら、1年を過ごせたらと思います。 これから迎える年末の慌ただしい日々の中で、皆様も体調崩されないようご自愛ください。
■お問い合わせは、JIDA事務局まで 公益社団法人 日本インダストリアルデザイン協会
配信日時: 2025/ 12/ 1 |