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EAST JAPAN BLOC 東日本ブロック
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JIDA東日本ブロックニュース~2026年5月号〜


 

【2026年5月号目次】

1:イベント報告&告知

2:おすすめ展示会&イベントのご紹介

3:コラム

4:お知らせ

5:編集後記

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【1:イベント報告&告知】

■東日本ブロックデー『 茨城県笠間市 チョコッとのぞき見ツアー』(東日本ブロック 堀内智樹)
2026年3月28日、JIDA東日本ブロックにて、茨城県笠間市の視察「ブロックデーin笠間」を開催しました。

今回のツアーは会員の蓮見さんに全行程をご設計いただき、メンバーのご協力による車移動で、コンパクトながら密度の高い一日となりました。

最初に訪れた「磯蔵」では、明治元年創業の酒蔵を蔵元でデザイナーでもある磯氏の視点で再構築した空間と、その思想に触れる機会を得ました。
歴史と現代性が違和感なく共存するあり方は、非常に示唆に富むものでした。

続く「R+KASAMA」では、デザイナーの蛭牟田氏より古民家再生による地域活性の取り組みを拝聴。
景観を守りながら新たな価値を創出する姿勢、そして「期待を超える提案」を軸としたデザイン思考が強く印象に残りました。

昼食は同プロジェクトが手掛けた大正カフェにて。空間・食・地域資源が一体となった体験は、笠間ならではの魅力を体感するひとときでした。

午後はギャラリー門にて笠間焼の多様な表現に触れ、道の駅では地域の豊かな農産物を確認。

わずか一日ではありましたが、笠間市は「文化・産業・暮らし」がデザインによって有機的につながる、非常に魅力的な地域であると実感しました。

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ブロックデー参加者(スナップ左より/敬称略)
石川・浜崎・中鉢・佐野・蛭牟田・蓮見・白土・倉方・吉田・長谷川・堀内

未訪の方は、ぜひ一度足を運んでみてください。
 

 ■会員紹介展Vol.2(ギャラリー部会長 倉方 雅行)
2026年2月に開催しました、<会員紹介展Vol.1>では、参加の方々はもちろん、お越しいただいた方々からも、開催に際して高いご評価をいただきました。そこでこの度は、より多くの方々にご覧いただけるように、東日本ブロック総会の開催日(6/19)に合わせた展を計画し、会員の紹介展示と交流会を予定しています。
詳細は、後日メール配信いたしますので、ご期待ください!

会場:JIDAギャラリー 六本木AXISビル4階

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【2:おすすめ展示会&イベントのご紹介】(東日本ブロック 大喜多 一範)

■日本サインデザイン協会60周年記念 「大サイン展」 伝える つなげる Sign × Society × Story
開催期間:2026年4月24日(金)~6月7日(日)(会期中無休)
開館時間:11:00~19:00 (最終日は16:00まで)
入場料:無料
会場:東京ミッドタウン・デザインハブ ミッドタウン・タワー 5F
公式サイト:https://www.designhub.jp/exhibitions/sda2026
開催概要:日本サインデザイン協会(SDA)がこの世に生まれて60年。サインデザインを取り巻く社会環境は大きく変化し、その領域や社会的役割も案内板や誘導サイン、看板や標識といった従来の枠を超えて広がってきました。いまやサインデザインは、都市や建築、公共空間、商業環境、文化活動など、さまざまな場面において、人と人、人と場所、 人と社会をつなぐ存在となっています。
こうした歩みと現在地を社会に広く伝えることを目的に、サインデザイン分野では初となる展覧会「大サイン展 伝える つながる Sign × Society × Story」を開催いたします。本展では、「過去・現在・未来」という時間軸を通して、サインデザインが果たしてきた役割と進化の軌跡を検証し可能性を展望します。
『環境における新しい価値観を、情報によって創出する』─これこそがサインデザインの本質です。その領域はひとつの定義に収まるものではなく、ときに境界を越えながら社会とともにかたちを変えてきました。だからこそ、そこには尽きることのない可能性と、人の心を動かす力があります。本展を通して、サインデザインの多面的な魅力をぜひご体感ください。

■アート・アーカイヴ資料展XXIX:慶應義塾の谷口吉生  交差するまなざし
開催期間:2026年5月11日(月)~7月24日(金)
開館時間:11:00~18:00 
休館日:土日祝日
臨時開館日:6月27日(土)、7月18日(土)
臨時休館日:7月13日(月)
入場料:無料
会場:慶應義塾大学アート・センター(三田キャンパス南別館1Fアート・スペース)
公式サイト:http://www.art-c.keio.ac.jp/news-events/event-archive/artarchive29/
開催概要:建築家の谷口吉生は慶應義塾のキャンパスにおいて、他者の建築との共鳴のもとで新たな環境を生み出しました。幼稚舎では父・吉郎が手がけた本館に新体育館と新館21を接続し、湘南藤沢キャンパスでは盟友・槇文彦による大学キャンパ ス外郭に設置する中等部・高等部校舎を設計しています。本展では建築物を取り巻く環境を活かした設計を行う谷口吉生が、建築を通して先達とどのような対話を重ねたのかを探ります。

■High Visibility 視認性 - 黄と橙
開催期間:2026年5月13日(水)~6月28日(日)
開館時間:10:00~18:00
休館日:月曜日・火曜日
入場料:無料
会場:東京オペラシティ アートギャラリー(ギャラリー1、2)
公式サイト:https://www.fuji-gs.jp/exhibition/high-visibility-2605/
開催概要:本展は、「色」を主題として毎年継続的に開催している展覧会の第3回目にあたります。今回は、初夏の季節に呼応する色として、橙と黄に焦点を当てます。これらの色は高い明度と彩度を持ち、空間の中で強い視覚的強度を示します。
一方、橙と黄は現代社会において「高視認性(High Visibility)」の色として機能し、注意喚起や警告の場面で広く用いられています。工事現場の標識、レス キュー用装備、信号表示、デジタルデバイス上のアラートなどにおいて、これらの色は視線の誘導や情報の強調に用いられています。
本展では、このような機能的側面を持つ色彩を起点とし、橙および黄が作品ごとにどのように用いられているかを提示します。同じ暖色系の色であっても、作家の主題、素材、構成の違いによって、視覚的な印象は異なります。

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【3:コラム】(東日本ブロック 武蔵塗料株式会社 金子 友睦)

 シンプルに宿る本質 ― 愛着を生むデザインの力

デザインとは何か。この問いに対して私は、製品やサービスをストレスなく使いやすくし、さらに魅力的な体験へと昇華させる営みであると考えている。単なる造形の美しさや新しさを競うものではなく、人が自然に理解し、迷うことなく使え、その過程において心地よさや満足感を得られること。その積み重ねが、デザインの価値を形成する。

これまで私は、自動車メーカーにおいて公共性の高いバスのデザインに携わってきた。そこでは、年齢や身体能力、利用状況の異なる多様な人々が対象となるため、誰にとっても安全でわかりやすい設計が求められる。操作系や表示、寸法、色彩といったすべての要素が、利用者の行動と密接に関わる。公共の乗り物は利用者が選択することが難しく、提供されるものを受け入れるしかない。そのため、使いにくさやわかりにくさはそのまま不安や負担につながる。ここでの経験は、デザインが果たすべき責任の大きさを強く認識させるものであった。

その後、デザイン事務所ではユーザビリティを主軸に、事務機器や医療機器の調査およびデザイン提案に取り組んだ。実際の利用者の行動を観察し、課題を抽出し、それを具体的な設計へと落とし込むプロセスを通じて、使いやすさの本質を探求してきた。特に医療機器においては、操作の誤りが重大な影響を及ぼす可能性があるため、直感的な理解と確実な操作性が不可欠である。ここでは、見た目の美しさ以上に、人の行動を正しく導く設計の重要性を実感した。

現在は塗料メーカーにおいて、CMF(Color, Material, Finish)の視点から様々な製品に価値を付加する提案を行っている。一見すると、これまでのユーザビリティ中心の業務とは異なる領域に見えるかもしれない。しかし、色や質感、仕上げといった要素は、製品の印象だけでなく、視認性や操作性、安心感にも大きく影響する。CMFは単なる装飾ではなく、機能と体験を支える重要な要素であり、ここにもデザインの本質が存在している。

こうした経験を通じて、私の中で一貫している考えがある。それは、デザインは人のために存在するということである。対象や手法が変わっても、その本質は変わらない。人の行動や感情に寄り添い、課題を解決し、より良い体験を創出すること。それがデザインの役割である。

その考えは、私自身が長く愛用している製品にも表れている。腕時計やバイクといった身近な道具の中で、特に愛着を持ち続けているものには共通点がある。それは、シンプルであり、機能が適切に絞り込まれていること、そして造形が洗練され質感が高いことである。無駄な装飾や過剰な機能に頼らず、本質的な役割に徹した製品は、使うたびに納得感を与え、長く寄り添う存在となる。

シンプルであるということは、決して容易なことではない。むしろ、何を残し何を削ぎ落とすかという判断の積み重ねであり、そこには深い洞察と意志が求められる。本質を見極め、不要な要素を排除することで、はじめて明快で理解しやすい構造が生まれる。その結果として、操作は自然になり、造形には純度の高い美しさが宿る。こうした状態こそが、機能美と呼ばれるものである。

また、シンプルな製品は時間とともに価値を増していく。流行や過剰な機能に依存したデザインは、時間の経過とともに色あせてしまうことが多い。しかし、本質に根ざしたシンプルなデザインは、長く使い続けても飽きることがない。むしろ、使い込むほどに理解が深まり、身体に馴染み、愛着が育まれていく。だからこそ、使い手はその製品に対して情熱を注ぎ続けることができるのである。

一方で、現代の製品やサービスには、機能の多さや効率性を優先するあまり、使い手に負担を強いてしまっているものも少なくない。例えば、直感的に理解しづらいインターフェースや、過剰な情報が混在する設計は、利用者にストレスを与える。本来デザインは、そのような負担を軽減し、人の行動を自然に導く役割を担うべきである。

デザインにおいて重要なのは、「何を加えるか」ではなく「何を残すか」である。多くを盛り込むことが価値を高めるのではなく、本質を見極め、必要な要素に集中することで、より強い価値が生まれる。シンプルであることは、制約ではなく、むしろ豊かさへの道である。

私が愛着を持って使い続けている腕時計やバイクは、そのことを静かに教えてくれる存在である。シンプルだからこそ飽きることがなく、使い続ける中で新たな発見があり、関係性が深まっていく。そしてそこには、単なる機能や性能を超えた体験としての価値がある。

デザインとは、人とモノ、そして社会との関係をより良いものへと導くための手段である。どのような領域においても、その本質は変わらない。シンプルであることの意味を見つめ直し、本質に立ち返ること。それが、これからのデザインに求められる姿勢であり、長く愛される価値を生み出すための確かな指針であると考えている。

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画像左から
(1)CARTIER Pasha C 初期モデル シンプルで飽きがこない 気がつけば30年近いお付き合い
(2)YAMAHA SDR 軽量・スリム・コンパクトを極限まで追求した、レーサーレプリカ全盛の時代に発売されたバイク 新車で購入し40年近い
(3)VANMOOF Tyny 2.2 ワイヤー類がフレーム内に収められたシンプルなフォルムに惹かれ衝動買い。10年以上経つのかな。

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【4:お知らせ】

今年度のセンター総会と東日本ブロック総会の日程は下記となります。詳細につきましては改めて事務局よりご案内いたします。

●センター総会:2026年6月6日(土)大阪デザインセンターにて開催
●東日本ブロック総会:2026年6月19日(金)六本木AXISギャラリーにて開催


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【5:編集後記:季節のうつろい】(東日本ブロック 安原 七重)

桜の季節が過ぎ、街の花屋では芍薬やバラが目に留まるようになりました。
春は展示会やイベントも多く、各地で人の動きが活発になっているのを感じます。
気温の変化も大きく、体調管理が難しい時期ですが、皆さまどうぞご自愛ください。

 

 


■お問い合わせは、JIDA事務局まで

  公益社団法人 日本インダストリアルデザイン協会
  Japan Industrial Design Association/JIDA
  〒106-0032 東京都港区六本木5-17-1 AXISビル4F
  Phone : 03-3587-6391 Facsimile : 03-3587-6393
  E-mail : jidasec@jida.or.jp
 JIDA東日本ブロックE-mail : jida-east@nifty.com
  URL : https://www.jida.or.jp/

 

配信日時: 2026/ 5/ 1