【開催趣旨】
常に樹脂の成形と言えば『射出成形』を真っ先に思い浮かべる方が多い中、本勉強会では『シート成形』に光を当て『シート成形』は大型で複雑な形状に適した成形方法で、また小ロットにも対応しやすい為、設計の早い段階から試作検討が可能になるなど、メリットが大きい成形方法です。
今回の勉強会では『シート成形』で作った現物サンプルを沢山手に取ってご覧頂きながら
メリットをお話することで、『シート成形』の良さを実感いただけることを目的にしました。
【開催日】 2025年6月5日(木)16:00 ~17:30
【題 目】 「革新の一枚で創る、デザインの新常識 ―シート成形―」
【講 師】 住友ベークライト株式会社(JIDA賛助会員企業)
西川氏、大久保氏、森野氏
【参加人数】 18名(会場参加14名、オンライン参加4名)
【開催場所】AXIS六本木ビル4F (もしくはオンライン)

【当日の内容】
◆3つのテーマ
①シート成形の特長 ~現物を見ながら実感頂く~
②タフモスのご紹介 ~そこにあるのに‘見えない’『低反射シート』~
③超多層シート ~プラスチックで金属調外観~
3つのテーマで、現物をご覧頂きながら『なるほど!』の体験をして頂く事を目的としました。
※当日は時間の関係で②、③は概要紹介のみ
① シート成形の特長
~現物を見ながら実感頂く~
真空成形とは
成形動画をご覧頂き、『真空成形とは』を説明しました。
→シートをクランプして加熱。
→成形型をシートに押し当て、シートと型の間の空間を真空化。
→大気圧に押され、シートが型に密着。
◆シート成形のサンプルを多数ご覧頂き、射出成形同等の外観を実現できることも実感頂きました。
真空成型の特徴

◆真空成形の特長
大型の成形にメリット有。
小ロットからの対応も比較的得意で、射出成形に比べると初動対応がしやすい。
→初期段階から試作しやすく形状設計が楽になります。
【質疑応答】
多数のご質問頂きましたので、その中からいくつかピックアップしました。
・成形メーカーを紹介可能か?
→可能です。 成形メーカーによって、得手不得手な形状や用途があるので、内容に応じてご紹介可能です。
・日本にいくつぐらい成形メーカーはあるのか?
→正確には把握していないが、当社と接点のある成形メーカーだけでも30~40社程度あります。
・どんな素材でも成形できるのか?
→当社の材料でシート成形しているのは、PVC(高衝撃塩ビ板)、PC、PET。当社材以外だと、ABS、PPが一般的。
・射出成形との金額比較はできるか?
→形状、大きさによって価格は変わるため、一度図面を提示頂ければ概算価格を出すことは可能です。
◆実際には、①で時間切れとなり、②③はご紹介できませんでしたが、②のみ簡単に記載致します。
② タフモスのご紹介
~そこにあるのに‘見えない’『低反射シート』~
◆弊社はポリカーボネートのシートを生産しており、様々な用途、分野でお使い頂いております。その中でも表面に特殊な機能を持った材料をご紹介致します。
◆タフモスという、低反射・超撥水シートで、バイオミメティクスの技術を使い、『蛾の目』を模した表面構造を持った材料です。
◆ 特に低反射機能では、光を反射しにくい(透過率は最大で約99%)ため、そこにあるのに、見えない感覚になるシートです。
◆今年の1月に東京ビッグサイトで開催されたカーエレクトロニクス展に出展した樹脂窓サンプルの写真です。写真では少し分かりづらいですが、反射が少ない為、星空がとても見やすくなる窓や、夜の車内で携帯の画面が反射しづらい窓などを展示しました。
【最後に】
参加者から想定以上の質問が寄せられ、シート成形への関心の高さがうかがえました。時間の都合で十分に扱えなかった高付加価値シート(タフモス・超多層シート)については、次回以降にフォーカスした勉強会を検討したいと思います。