この記事は、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社のデザインセンターがnoteにて公開した記事を引用しています。
元の記事はこちら:https://note.com/fujifilmbidesign/n/n3d1e8b8cb4b4
JIDAインハウス女性デザイナー研究会
「企業グミ研究」してきました!
こんにちは!富士フイルムビジネスイノベーション デザイナーの上遠野です。
普段はBtoBの業務アプリケーションのUI/UXデザインを担当しています。デザイナー歴は今年で4年目になりますが、実は以前は別の部門で4年間、システムエンジニアとして働いていました。
今回は、そんな私が「JIDAインハウス女性デザイナー研究会」の38期として活動してきた1年間の様子をお伝えします!
上遠野|UI/UXデザイナー
2019年入社、業務アプリケーションのデザインを担当
目次「JIDAインハウス女性デザイナー研究会」って? |
「JIDAインハウス女性デザイナー研究会」って?
「各企業の代表として参画する女性デザイナーが、他社との交流、普段の業務から離れた経験、課題解決の手法の積み重ねにより知識を広げ、職能を向上させる成長の場」です!
、、、と書くと堅苦しい真面目な組織に見えますが、実際は同世代の女性デザイナーが月1で集まって好きなことをするサークルみたいな感じです。(個人の解釈です)
お菓子を食べながらゆるくディスカッション中
38期の活動内容
今年は5社から7人のメンバーが集まり、2025年4月~2026年3月まで活動してきました。
世代は近いとは言え、年次もバックグラウンドもバラバラ。そこで、「少人数だからこそ、密に、自由に楽しく」をモットーに、お互いのことを知って、自分たちの好きなことができたらいいね!とゆるくスタートしました。
1年間の流れ
そんなわけで私たちの活動は
①テーマ決め→②グミ研究→③中間報告→④成果物制作→⑤最終報告
という流れで進んでいきます。
①テーマ決め
まずは全員で最近気になっているトピックを出し合いました。平成ブーム、AI、海外トレンドなど…約20個のトピックの中でも、特に作りたい!!とメンバーのモチベーションが上がった結果、投票で選ばれたのは「グミブーム」でした!
オンラインホワイトボードを使ってアイデア出しをしました
なぜグミなのか?
半ばテンションと勢いで決まった「グミ」ですが、冷静になって理由を整理すると、以外と奥深い要素が見えてきました。
①近年のグミブームに注目
トレンドでもある「グミ」をテーマにすることによって、現在の若年層が何を楽しんでいるのか研究する!
②インフォグラフィックスとしての展開性
弾力系・ハード系・ソフト系だけでなくザクザク系、もちもち系など、もはやお菓子に留めておくのはもったいない程のバラエティが存在するグミ。味わえるインフォグラフィックとして活用できないだろうか?
③アウトプットの多様性
デザイナーとして、各社のアイディエーションやデザイン手法を学び合える。また、華やかなアウトプットを通じてJIDA女に興味を持ってくれる人が増えることも期待。
…と、自由度が高く楽しく活動するのにぴったりのテーマ!ということで次はグミ研究が始まります。
ちなみに、メンバーは昨今よく耳にする「平成女児」のドンピシャ世代。平成ブームのトピックでは、「犬猫の写真×クローバー柄の文房具」や「チェーン付きデニム生地のペンケース」など、平成女児あるあるで大いに盛り上がったのも良い思い出です。
②グミ研究
何はともあれ、まずは市場調査。メンバー各自が気になるグミを持ち寄り、食べて、触って、改めてバリエーションの豊富さを実感。
全28種、なんと被りなし!(味違いはセーフ)
ここで、せっかくならお互いの企業とグミを掛け合わせて何か新しいものを作れないか?というアイデアが。グミを企業に見立て、「刺激的」「王道」「頭脳系」など、様々な軸で分類してみました。
グミ×企業、意外と相性いいのでは?
ということで、「企業グミ」を作ることに!
③中間報告会
月日が経つのは早いもので、この時点で8月。
テーマも固まってきたところで、メンバーの上長やJIDAインハウス部会長へこれまでの活動と今後の方針を報告。
参加いただいた方々からは、
| みんなでワイワイ楽しくやってくれたらいいと思う |
| グミと企業を結び付けるのは面白い着眼点 |
| どんなアウトプットになるか楽しみ |
など、あたたかいコメントをいただきました。
皆さまから背中を押され、一安心&モチベーションアップした私たちの活動は、最終成果物の制作に向けて加速していきます。
④成果物制作
中間報告を終え一安心したのも束の間、残り半年で何かしらのアウトプットを制作するためにやることは色々あります。
企業研究
企業グミを作るために、まずはお互いの企業を知ろう!ということで活用したのが、「企業プロフィール帳」。
テーマ決めから心のどこかで平成女児マインドを忘れられない私たち(笑)。
子どもの頃に友達と交換したプロフィール帳の企業バージョンがあったら、楽しくお互いのことを知れるのでは?という思いから、オリジナルの企業プロフィール帳を作成しました。
共感や気づきを付箋に書き出していきました
デザイン構想
プロフィール帳で企業の特徴が見えてきたら、各社の比較がしやすいよう特徴を「甘さ」「硬さ」などのパラメーターにまとめました。
さらに、このパラメーターを元にグミのデザインを考えます。味はもちろん、色・形・質感・表面加工などなど…アイデアを練り上げていきました。
富士フイルムビジネスイノベーションのグミ設計資料
モック試作①
デザインが決まったら、ついに形を作る工程に入ります。
グミの特性である透明感を表現するために、まずはレジンでグミモックを作ることにしました。
(左)3Dプリンターで型を制作 | (中央)土台にレジンを注入 | (右)UVライトで硬化
完成したモックがこちら。
左から、3D型(脚付き)、3D型(脚なし)、土台、レジングミ
企業訪問
もう少し製菓デザインの知見を得たい…と思っていた矢先、JIDAインハウス部会長 佐藤様のご紹介で複数の製菓メーカーのデザインご担当者にお話を聞く機会をいただきました!
その中で、
グミの形状は自分たちでコーンスターチとゼラチンを使ってササッと作って検討したりもする |
というお話を聞いて、私たちは思いました。
「本物のグミを作った方が早いかもしれない」
この気づきから、私たちは実際に食べられるグミを作る方針に転換を決断しました。
モック試作②
そうとなれば、早速本物のグミ作りに取り掛かります。
企業訪問でいただいたアドバイスやネット上の情報を元に、ゼラチンをフルーツジュースなどに溶かしたグミ液を作って…と考えていたところ、あるひらめきが。
「グミを溶かしてグミ液を作った方が早いかもしれない」
小学生の頃、板チョコを溶かして100均のアルミカップに入れるだけのバレンタインチョコを作ったことがある方はピンとくるのではないでしょうか。
まさに同じ発想です。
ということで、早速リアルグミ作りに取り掛かります。
(左)コーンスターチで型取り | (中央)グミ液を注入 | (右)しばらく放置
完成!と思いきや、結構難しい…。条件を少し変えるだけで全く別物になってしまうため、念入りにレシピを研究します。
成功例(左)と失敗例(右)。失敗の要因は水の入れすぎ…
こうして使える設備や道具に限りがある中で何度も試行錯誤を繰り返し、なんとか5種類の企業グミを完成させました。
⑤最終報告会
そして迎えた最終報告の日。メンバーの所属企業である三菱電機様のSerendie Street Yokohamaにて報告会を行いました。
メンバーの上長やJIDAインハウス部会長のほか、個人でお申し込みいただいた方など総勢約30名の方にお越しいただきました。ありがとうございます!
Serendie Street Yokohamaについてはこちらをご覧ください。
https://www.mitsubishielectric.co.jp/serendie/about/innovation-hub/
報告会では、完成したそれぞれの企業グミを研究ノート風にまとめた「企業グミファイル」の発表や、実物の展示、一部のグミの試食も行いました。
展示の様子
TEDのようなステージ(左)と、展示を鑑賞中の皆様(右)
それでは、果たしてどんなグミが出来上がったのか!?企業グミファイルから抜粋して、富士フイルムビジネスイノベーションの企業グミをご紹介します。
企業プロフィール帳にもらったコメントを元にパラメーターを作成
企業訪問で「組み合わせると違う味になる」というアイデアを得ました
CGにかなり近い完成度!
発表の最後には、JIDAインハウス部会長の佐藤様よりコメントをいただきました。
| 今回の第38期は、久しぶりにモノづくりそのものにしっかり向き合う、とても良い流れだったと思います。 インハウスデザイナーは、企業内の制約の中で意味を翻訳し、価値を再定義していく存在ですが、日常業務ではどうしても機能や効率といった“正解に近づく思考”に寄りがちです。 そうした中で、耐久消費財の論理をいったん外し、『グミ』という自由度の高い消費財に向き合い、感性や体験、人と人との関係性まで含めて設計したことには大きな意義がありました。 企業の個性や文化を、色や形、味といった異なるメディアに置き換えていくプロセスは、まさにデザインの本質である“意味の可視化”そのものです。 異業種との共創や実制作を通じて、視点や方法論を更新していった点も含め、今回の活動は、デザイナーの役割をモノづくりの先へと広げる可能性を、しっかり示していたのではないかと感じています。 |
佐藤様のコメントより、一部要約
メンバーの多くがBtoB事業に携わる中で、グミという消費財であり、自分たちの好きな題材を追求することで自然とデザインの本質に立ち返ることができたのだと感じました。
佐藤様、貴重なコメントをありがとうございました。
そして、発表後にはメンバーの所属企業に1つずつ、制作した企業グミをプレゼント!(実は当日の朝まで作っていました)
のしやフレーバーリストも制作しました
こうして、なんとか無事に報告会を終え、38期の企業グミ研究活動記は幕を閉じたのでした。
最終報告会に参加したメンバーのコメント
「企業グミ研究活動記」というタイトルを見てずっと楽しみにしていました!
社会人になって(or入社して)から企業を俯瞰して見ることがなかったので、学生のころとはまた違った視点で企業のいろいろな側面を見ることができました。
また他メーカーのデザイナーと交流する機会がないので自分も混ざりたいなと思いました。
単に「企業を知る」だけでなく、互いの企業訪問やグミ研究を通じて楽しみながら活動している様子が伝わってきました。若手グラフィックデザイナー 片岡さん
上遠野さんはエンジニアからデザイナーにキャリアチェンジしている経験もあり、活動に参加する前は、他社のデザイナーが集まる中で力が発揮できるか不安そうな様子もありました。しかし最終発表では、普段の職場ではなかなか見せないようなキラキラした表情で楽しそうにしている姿を目にし、上司として複雑な、もとい、送り出してよかったと思いました。
各社をイメージしたグミづくりは、プロセスも成果物も遊び心がありながらセンスの良さが感じられ、上遠野さんにとっては人脈も含めてよい財産になったのではと思っています。上長の平野さん
おわりに
いかがでしたでしょうか。
私自身、1年間活動してみて一番の感想は「とにかく楽しかった!」です。
同世代のメンバーと仲良くなれたことや、ランチなどで各社の社風などリアルな部分が知れたのも良かったです。
さらに、日々の業務とは全く異なるテーマで、好きなことをとことん追求できるという貴重な体験をさせていただき、とても有意義な1年間でした。特に、手を動かすことの大切さを改めて実感しました。デザインの意義は価値を可視化すること、という点は日常の業務でも同じです。
私自身、商品企画の上流からデザイナーとして関与するようになり、頭で考えることが多くなりがちですが、そんな時こそ手を動かして形にすることを忘れないようにしたいと思いました。
改めて、個性豊かなメンバーの皆さんとその上長の皆様、そして会長の佐藤様、ありがとうございました!

