JIDA

27期インハウス女性デザイナー研究会 活動報告

 

研究活動

  • 活動期間  2013年4月〜2014年3月
  • 活動内容

定例会(1回/月)

  1. テーマ活動
    テーマ活動は毎年テーマを選定、そのテーマに対しての研究を行う
  2. 異業種交流
    各社持ち回りによって開催される定例会の中で各社の特色を活かした体験活動を行う
  3. ドレスコード
    毎月テーマを設定し、メンバーのテーマに対する考えを可視化(ドレスコード)することで、各々の考えを共有するきっかけをつくる
  4. Information Exchange
    毎月テーマを設定し、情報共有を行う
  5. メンバー担当機種紹介

報告会(1回/年)
研修旅行(1回/年)

 

今期の活動にあたり着目した点

昨今の経済不安から、コストのかかる模型や展示物の作成、宿泊研修を行なうことが困難な状況の中、「いかに実りある勉強会にすべきか」が問われている。これを受け、本年はテーマ活動や異業種交流に加え、Information Exchangeやメンバーが担当した機種の紹介など、異業種が集まる場を生かした活動を行った。

 

テーマ活動

本年度研究テーマ
「Newアラサーを定義せよ!」〜多様化するアラサー女子の心理と行動〜

 

1【背景】

近年、女性の社会進出はもはや当たり前となり、女性のライフスタイルや価値観はこれまでになく多様化している。女性をターゲットにした市場では「女性視点の商品」「女性ならではの思考」が必要とされる。女性の生活が変わり、消費心理も大きく変化していく時代の中で、昨年に引き続き、本研究会の原点でもある「女性」について参加メンバーの目線で再定義することとした。

 

2【仮説】

テーマを選定する中で、最近よく話題にあがる「アラサー女子」に着目した。
(アラサーとはアラウンドサーティ―の略で、27〜33歳の女性のことを呼ぶ)
参加メンバーら自身が「アラサー女子」であり、有職のアラサー女子は比較的自由にお金を使える経済状況にあり、ターゲットとされることが多い。
アラサー女子を対象にした商品、サービスを見てみると、 ペルソナの描き方が、未婚、既婚、子あり、好きなインテリアやブランド、持ち物といった外から見えるものをベースに分析されている。
実際、アラサー女子というと、就職、結婚、出産と変化の激しい年代でもあり、その状況によって変わることも多々あるのは確かである。
しかし、世の中で描かれるアラサー女子像と参加メンバー自身を重ね合わせると、差異が見えてきた。
選択肢の自由、ニーズの多様化の進む近年、以前から思われていたステレオタイプから抜け落ちるアラサー女子が多く存在するのではないか。そんな疑問からアラサー女子の実情を探り、私たち自身の合致のいく「NEWアラサー女子」を定義するため調査を始めた。 

 

3【アンケート調査】01.jpg

  • 対象:女性 /30歳前後 /有職者
  • 調査人数:30名
  • 調査項目
    • 自分の将来なりたい姿
    • 将来なりたい像に近づくためにやっていること、やりたいこと
    • 欲しいもの(現在、将来)
    • 悩み(現在、将来)
    • 自分がなりたくない女性像(著名人例、性格、なんでも)
    • 最近の買い方の傾向(妥協品多い、実用品を慎重に、高くても質の良いものを等)
    • 何にお金を一番使っているか。なぜか。
    • 何をアラサーの「ゴール」と意識しているか。もしくは「ゴール」という意識が無いか。
    • 現在の生活満足度とその理由(恋愛・趣味・仕事それぞれの満足度)
    • 現在の自分を色、将来なりたい自分の色のイメージと理由 
    • 普段読む雑誌

上記調査を通じてメンバーが知り得たかったのは被験者がアラサーというステージでどのような価値観で生活しているか、である。ヒアリング形式の定性調査によって、アラサー女子の生の声を聞き、彼女たちアラサー女子の現状を私たちの目線で分析を行った。 

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4【分析】

-1) 結婚観
結婚=アラサーのゴール?
結婚は単なる通過ステージ  自分の意思で道を選択できることが重要
アラサー女子へ向けた雑誌やインターネットなどのメディアでは、婚活や晩婚、崖っぷち女子など結婚を煽る様な言葉が多く見られる。そのことから世間の描くアラサー女子は「結婚にあせっている」というイメージが定着している。しかし、アンケートを分析すると22名の独身アラサー中、10名が 「いつか結婚できれば」「いい人がいれば」「自分が成長してから」と“今”にこだわらない人が半数近くいるということが結果として出てきた。
また、結婚することが目標なのではなく、生活を充実させるための一つの手段として見ている人が多く、アンケートの中には趣味を見つけたい、プライベートを充実させたいといった意見が散見された。
結婚願望のある者も結婚もただの通過点でしかなく、ましてや「何歳までに結婚したい!」というような明確なゴールを持つ人というのはほぼいないことが分かった。

 


 

アンケート抜粋 「自分の恋愛、結婚観は?」

「いつかは結婚してみたいけど、 特別“今“という話ではない」 29歳会社員/未婚
「子供も家族も欲しいけど 今は自分のことが最優先かな」 29歳事務職/未婚
「今の彼氏とずっと一緒にいたいと 思っているが、結婚という肩書きには特にこだわらない」 30歳海外支援会社/未婚



-2) 人生の進め方
 ライフステージの差=人生の進め方の差?
未婚/既婚の枠を超えた共通の価値観がある
アンケートにて仕事やプライベートにおいて自分で設定した目標のクリアする方法について調査した。
アンケートの結果、結婚や出産と変化の多い世代ではあるが、 生活が変わっても根本にある性格や感情は変化せず、その変わらない部分が彼女たちの生活の中での決断行動に大きく影響していることが見えてきた。 アラサーは 結婚、出産をすることで生活に変化が出てくるものの、そのライフステージに関わらず、共通の価値観があることがわかった。


アンケート抜粋 「あなたの人生の進め方は?」
■タイプA
「結婚、出産、会社でのステップアップ、 資格獲得の為の勉強をするなど計画的」 30歳営業企画/既婚-子持
「目標を決め進んで行く。自分の為に なりそうなものを少しずつ手に入れる」30歳技術職/既婚
「小さな目標を段階的に掲げてアイテム を集めて進める慎重タイプ。 」 30歳技術職/未婚

■タイプB
「大きな変化や障害は好まず、また多くも求めていない。 」30歳発注事務/既婚
「ステップアップ欲は弱い。危険な道は歩まず、日々変わらず平和な人生」30歳食品会社/未婚


 

-3) あこがれ
あこがれ=将来像?
自分らしさが大切 自分にふさわしい手段やスタイルを身につける
女性が憧れるタレントを起用した広告でそのイメージに近づけるための商品が世の中にあふれている。
理想像に関しての回答をみたところ、半数程度の人があこがれのタレントやモデルを挙げていた。しかし、
それはなりたい将来像というわけではなく、あくまで尊敬や愛でる対象の人が大半であった。
また、自身のなりたい外見としては「年相応」や「自分らしさ」「無理はしない」といった言葉がよく見られ、中身に関しても「自立」や「自信を持つ」といったワードが多く、自分自身が意思を持って前に進む意思が感じられた。
あこがれはあるにしても目指す方向は他の誰かではなく、自分自身。
流されがちだった10代20代を過ぎ、自分が本当に心地よいと思うもの、そしてまねではない自分独自の世界やイメージを理想としている人が多いことが読み取れた。


アンケート抜粋 「自分の将来なりたい姿は?」

「作られた感じではなく、無理はしない。年相応に綺麗なひと」 27歳営業事務/未婚
「自分を好きでいれば良い」 30歳一級建築士/既婚-子持ち
「人と比べずマイペースでいたい」27歳事業管理/既婚


 

アンケートから、選択肢の自由が広がる中で女性の複雑な心理と絡み、未婚や既婚という単純な見方だけでは刺さらないユーザーがいることが見えてきた。今までの見方を変え、あえて複雑なアラサー女子の心理に目を向けることで、多様化の進むアラサー層をさらに満足させられるサービスが生まれるのではないかと考えた。

5【再定義】
アンケート分析よりアラサー女子は自分がどうありたいかに強い信念を持ったキャラクターであり、
自分に合うアイテムを集めることに貪欲な世代であることが見えてきた。

分析結果より、私たちは3つのキーポイントに注目した。

  1. 結婚観  自分の意思で道を選択できることが重要
    ⇒自らの選択で進むルートを選ぶ
  2. 人生の進め方 未婚/既婚の枠を超えた共通の価値観がある
    ⇒未婚・既婚に関係なく共通の(人生の)進め方パターンを持つ
  3. あこがれ 自分らしさが重要
    ⇒自分に合ったアイテムを身につけ、足りないものを探し求める

わたしたちはこの結果を「人生ゲーム」という親しみの沸く表現を使用し、複雑なアラサーの心境、そして行動を表現できないか試みた。その名もアラサー女子のダンジョンゲーム「アラサーガ」

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コツコツ型

理想が高いがビビリなスナイパー
04.jpg武器はライフル 。アイテムのGPSや暗視スコープを使い、道を進む慎重派。極上の獲物に選りすぐりの高性能アイテムを駆使して狙いを定め、時間をかけても確実に射止める。

コツコツ型は、大きな敵やアイテムに挑む前に小さな相手でスキルアップをして着実に進むのが特徴。 こう聞くととても真面目に聞こえるが コツコツしているのは器が小さい故のこと, GPS等でできるだけ情報を集め、想定内の動きしかしない。 大きな仕事や困難には、尻込みをしてしまうという弱さもある。

 

■コツコツ型の買い物傾向

買うものにも高い理想を持ち、よく調べて自分の納得できるものを決める 。
ただし、 その高い理想は身の丈以上になっていることもしばしばで 「いつかはこれが欲しい」と思いつつ、身の丈を考えて、妥協品を購入しがち 。理想の品への憧れを持ち、そのために“お金を貯める”などコツコツ努力を続ける努力家。

 


アンケート抜粋

デザイン、品質は妥協してでも家電、インテリアを揃える。そして将来の妄想を楽しむ。 将来的に海外に行くために英語を使える仕事がしたい。 趣味にはお金を使うが、日用品は理想が高いため、妥協品多し。
いつか買い替えるためのつなぎ感覚。どうしても安いものに手が伸びがち。 (30歳技術職/未婚)
結婚、出産、会社でのステップアップ、資格獲得の為の勉強を計画的に進めている。(30歳技術職/既婚)
子育てと仕事の両立に、毎日奮闘。少しずつでも上手になるよう努力中。
転職をしたいので、アメリカの公認会計の資格を取ろうとしている。勉強中。
仕事で発言権を持つために、日々努力中。(30歳営業企画/既婚 子あり)


 

アドベンチャー型

05.jpg大きな敵に自ら突っ込む果敢なファイター
二刀流で抜群の攻撃力を持つが、防御知らずの為に生傷が絶えない。 でも、本人はあまり気にしない様子。 ちょっとこころもとないが、首から下げたコンパスと、ヘッドライトの光を頼りに、 大物を倒すためなら手段を選ばない無謀もの。 無理難題に俄然燃えてしまうタイプ。

アドベンチャー型は、アイテムも戦いも大好き。 自分の求めるものを見つけると、それに向かって、道なき道を突っ切って取りに行く。 着実なスキルアップなどアドベンチャー型には関係無し。 無理して獲得したアイテムだけど、もしかしたら自分の身の丈に合うものではないかもしれない。が、そんなことは気にしないおおらかなキャラクター。

■アドベンチャー型の買い物傾向
アドベンチャー型の特徴は、ピンときたらすぐ買ってしまうところ。コツコツのように、身の丈を考えたりはしない。衝動買い、というより、一番いいもの・一番自分が求めるものを買うためには、手段を選ばない行動力を持っている。 しかし、使う事がもったいなくなり、安価な代用品を購入することもある。
そんな後先考えないような消費行動はアドベンチャーの特徴。


アンケート抜粋

8万円のスリッポンを買ったものの、 もったいなくてなかなか履けず、似たような数千円のバンズのスリッポンをよく履いている (30歳 技術職/既婚)
何歳になっても好きなことをやりながら輝いていられるパワフルな人になりたい。(33歳 技術職/既婚)
コスパが良いと納得すれば、高価なものでも買う。仕事の幅を広げて生いきたいので、英語はもっと勉強しなくては…と思い勉強を始めつつある。(30歳 技術職/既婚)


 

ピース型

平和を愛し、鉄壁の守りを誇るお嬢様ナイト
06.jpg,アイテムと武器はないが、 大きな盾とよろいで、身を守る、完璧なプロテクターを持っている。 できるだけ戦わず、ユルフワに巻いた髪の毛を決して崩さない 、勇気は少なめ、攻撃力は無いが、防御力はフルなタイプ。

平和を愛するピース型は、出来るだけ戦わないのがポリシーだが、 内心では、したたかに道を見さだめて、とにかく安全な道を歩むのが特徴。
進もうとした道に敵が現れても、避けて通れるなら、もちろん避ける。無駄な血は流さない。進む道沿いにアイテムがあれば受けとるが、敢えて道を外してまで、アイテムゲットはしない。変化や争いは求めないが、毎日を充実させたいという思考を持っている。実は戦ったら一番強いかもしれない。

■ピース型の買い物傾向
ピースの心情は、安定・確実・信頼が第一。 “冒険する事”“リスクの伴う事”にはとにかく慎重。アドベンチャーのように一時の欲で買い物をしない。だが、別にケチなわけでも、我慢しているわけでもなく、 一瞬の飛びぬけた幸福経験よりも、 長く確実に続く日常の幸福を大事にする行動パターンを持っている。
そんな後先考えないような消費行動はアドベンチャーの特徴と言えます。

 


アンケート抜粋

勝敗にはこだわらない。出来なくてもしょうがないかな、くらいの緩い感じが好き。
(27歳 営業事務/独身)

心地よい暮らしを求めて日々を過ごしている。大きな変化や障害は好まず、 また多くも求めていない。目標も立てない。
(30歳 発注事務/既婚)

手の届かないものは買わない。代わりのものを買うと満足してしまう 。ずーっと欲しいものとかあんまりない
(30歳 営業/独身)


 

ウロウロ型

07.jpg「自分」という名の道を求めて、さまよい歩く探検家
このキャラクターは誰よりも多くのアイテムを持っている。 あらゆる状況にそなえた装備と彷徨よい歩き集めたアイテムを、大きなリュックに詰め込んで持ち歩く。 しかし、使わないことが大半。 勇気と防御力は高めだが、攻撃力が弱いのが特長。

ウロウロ型は「本当にこの道でいいのかな?」と、自問自答し、さまよいながら進む。
アドベンチャー型のような直感ではなく、足元を照すランタンで、 道を確かめながら進むため、アイテムゲットに時間がかかる。
また、進むべき道が 直進した先に見えるのに、あえて全てのコマを通って自分の道を確かめる。 同じ場所を無駄に通ることや、ちょっと回り道をすることがあっても、 進むべき道を探すことに余念がない。 実は全く先が見えていないような彼女たちだが、本当は一番先を見ているからこそ 自分探しに余念がないのかもしれない。

■ウロウロ型の買い物傾向
コツコツ型の特徴は、自分に合うモノがどれなのか真剣に考え、悩むところ。
そんなウロウロには、選ぶための一押しが効果的で、売り手の効果的な一押しがあれば、それが決め手となり購入に踏み切ることも。一目ぼれなどの一時の気持ちではなく、慎重に、時に遠回りしながら、自分の気持ちを確かめていく行動パターンを持っている。


アンケート抜粋

色んなことに挑戦する(楽器・ダンスなどの習い事)…できないのが悔しいから頑張る。大きな計画性、というより目の前のことに楽しみを見出して進んでいきたい。(28歳 技術職/独身)
今の生活を変えたいと思っている。どうしたいとかはまだ中途半端。現状を変えなきゃ!と思っているのに、 まだその方向性が定まっていない(27歳 技術職/独身)
徹底的にリサーチしてほしいものを買う。妥協して買っても後でもやっとして、あとから使わなくなってしまう。

(28歳 企業役員秘書/独身)


 

ズンズン型

08.jpg来るものは全て拒まない柔術家
勘が鋭く美味しい道を嗅ぎ分け進むズンズン型。最短ルートをズンズン進む。
身軽さを好み、大きな武器は持たない。基本素手で戦いに挑む。
なにも用意がないからこそ、いつも体当たり。身のこなしが軽く、勇気もあるので、目の前に現れる敵は効率よく倒せてしまう。
与えられた仕事は、とりあえずやってみて、良い方向に持っていけるタイプ。

ズンズン型は、とにかく直進、前進。
敵もアイテムも、目の前に現れたものを受け入れる。 すすむべき最短ルートを進めてしまう、勘の良さを持っている。 そこに敵がいれば戦い、アイテムがあれば拾う。 たとえ少し外れた道にアイテムがあったとしても、道を外れてまで取りに行こうとはしない。
手間はかけずに、要領の良く突き進むのが特徴。

■ズンズン型の買い物傾向
ズンズン型の特徴は流れてきたものをつかむ、というイメージがぴったり。
ズンズンというと攻めの姿勢を持つように聞こえるが、彼女たちは実は受け身で、自分から探しにいく訳ではなく、流れてきたものを「勘」でいいかも!と 思ってつかむ行動パターンを持っている 。


 

アンケート抜粋

とりあえず楽しむ。まぁ、何とかなるだろうと思う。必要なものを買いに行くときは、比較せずに初めに見つけたものをパッと買う。(29歳 技術職/独身)
セール品の場合、いい!と思うと衝動買いすることが多い。(38歳 商品企画/独身)
ふらっと出かけて、気に入ったものを買う。服は良いものが見つかればボーンと奮発、それ以外は実家近くの古着屋でおしゃれなものを掘り出すことが楽しくてオリジナリティーがでるから好き。(31歳 技術職/既婚)
チャンスにのれるタイプ。チャンスを作る努力をしている。(27歳 技術職/独身)


 

ドリーム型

09.jpg自由と夢を求める気まぐれ魔法使い
謎のサングラス、風船と夢を背負って、予測不可能な行動をする。
パラメータは自由度、予測不能度、夢見度ともはやほかの人と項目が違うが、いずれのゲージもふりきれている。
現実でいうと急に仕事を辞めて、自分探しの海外旅行に行ってしまうような彼女たち。
先が見えないと進めないコツコツ型には全く理解できないキャラクター。
ドリーム型は、あるとき急に背中の風船で誰も予想しない道にくりだすのが特徴。
しかしその途中で、今の自分に必要なアイテムを獲得することができるという運の良さを持ち合わせている。
何が起こるかは本人も含め誰も分からない。けれど、ハラハラなのは周りだけで、本人に不安さはないというハッピーなキャラクター。

■ドリーム型の買い物傾向
彼女たちの行動は、もう誰にも予想ができない 。もしかしたら、その時になってみないと、本人も分かっていないかもしれない。ただ、型にとらわれず、本当に自分にとって良いことを考える柔軟さは、 販売する側から新たな世界を提供すると、それに一番に乗ってくれるかもしれない。


 

アンケート抜粋

今やった方がいい”と思うことはその時にやる。(28歳 ハウスキーピング/独身)
海外で仕事をしたいというより知らない世界を見てみたい。 新しい価値観を知りたい。後悔なく死にたい・・ まだまだやり残していることがあるしそれをするまではゴールしたと言えない。(28歳 事務/独身)
野性味溢れる行動力で、いつも周囲を驚かせる。将来のことを考えるよりも、今現在を楽しむことが大切。将来は今を生きた結果だから。(30歳 海外支援会社/独身)


 

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<今回の研究で見えてきたこと>

日々起こる変化の中で、「自分」を忘れず柔軟に生活をするアラサー女子達を本調査で見ることができた。
アラサーは、学生気分も抜け、結婚や出産といった大きな変化の中、自分で自分の道を決めていかなければならない世代である。 そんな彼女たちだからこそ、この6タイプが現れてきたのだと考えられる。
例えば、30代という目標への中間点だからこそ、段階的な行動をとりがちになりコツコツ型のようなタイプが現れたと考えられる。また、ウロウロ型やドリーム型も自分のやりたいことと現実とのギャップがある今だからこそ、迷いや挑戦という行動に結びつくのかもしれない。
選択肢の自由が広がる現代社会に、このような女性の複雑な心理が絡むことで、未婚、既婚という単純な見方だけは共感を得ないユーザーは必ず出てきているはずである。
今までの、環境や状態だけをベースとした見方ではなく、あえて複雑なアラサーの心理や行動に目を向けることで、多様化の進むアラサー層をさらに満足を与えられるモノやサービスが生まれるかもしれない。

補足/再調査
再調査
各参加企業にて本テーマ活動報告をし、聴講頂者自身が当てはまると思われるキャラクターを選択するというアンケートを行った

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考察
・将来への迷い等からか、若いころはウロウロ型が多くみられる。
・女性は年を重ねるごとウロウロやドリームは減り、コツコツやピースといった堅実なタイプに集約される傾向がある。 

再調査では本テーマ活動で提示した6キャラクターでアンケート分類したが、
他の年代には今回とりあげたキャラクター以外にも各年代独特の新たなキャラクターがあるかもしれないと感じた。

 

異業種交流

1)異業種体験
本年度は、テーマ活動に加え異業種交流にも重きをおき、活動を行った。
各社持ち回りによって開催される12回の定例会の中で各社の特色を活かした、7つの異業種体験を開催した。
5月 東芝科学館見学(東芝)
7月 スマートハウス見学(三菱電機)
8月 テクニカルセンター紹介見学(日産自動車)
9月 ウオッチ石留体験(セイコーエプソン)
10月 PHEV試乗体験(三菱自動車)
11月 トヨタ博物館見学(TOYOTA)
 3月 研修旅行(江戸伝統ものづくり巡り)   

 

異業種交流内容の概要と所感(一部抜粋)

12.jpg5月 東芝科学館感想
東芝研究開発センター内にある、旧東芝科学館(※)へ見学に行きました。アテンダントさんに案内をされ、東芝創設の歴史から、新旧様々な技術をたっぷり説明頂きました。広い館内には昔懐かしい家電や、創業者の一人である田中久重が作った万年時計のレプリカ、実際に動くからくり人形など見応えがあり、東芝を支える歴史と技術を感じました。(※現在は川崎東芝ビルに移転し、東芝未来科学館としてリニューアルオープンをしている)
(株式会社東芝 小林 潤奈)

 


9月 ウオッチ石留体験
長野県塩尻市にあるセイコーエプソン株式会社を訪問しました。時計の歴史を学び、製造工程を見学し、石留めを体験するといった内容盛り沢山の充実した訪問でした。
職人さん達の細かく正確な作業を間近で見学し、顕微鏡とピンセットを使った石留め体験を通して、普段何気なく使っている時計が精密機器であることを再認識した日でした。
(三菱自動車株式会社 越山 明日香)

高級時計が作られている緊張感と威厳のある工房や、匠の方々の丁寧な手さばきを間近に見させていただいた後、私たちも石留を体験しました。
説明を受けた内容を自ら行うことで、なぜこのような処理が施されているのかといった必然性等も理解することが出来ました。ただ、やはり見るのと実際に行うのは全く異なり、思ったように作業をすることの困難さを体感し、また、匠が匠である事の凄さを実感しました。
自分の担当製品では同じような工程を行うことは出来ないけれど、製品に対して真摯に向き合い、誠実な気持ちでデザインすることを忘れないようにしなくては、と改めて考えさせられました。
(キヤノン株式会社 稲積 めぐみ)

2013年9月9日、セイコーエプソン株式会社のウオッチ事業部を訪問しました。
製造工程の見学を通して小さな時計の中に職人さん達の情熱と技術が結集されている事を感じることができました。特に「石留め」を体験することで、職人の手によって作られる高級時計の高い精度と技術を体感することが出来ました。
改めてモノづくりに対する姿勢を学ぶことが出来ました。(三菱電機株式会社 崔 銀珍)
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14.jpg11月 トヨタ博物館見学
休館日に特別入館させて頂き、貸切状態でトヨタ博物館をたっぷりと堪能することができたことから非常に満足感の高い見学会になりました。一人で回るだけでは分からない歴史や製造の裏話、素材や使用した人物まで様々な角度からお話を伺うことができ、また普段は飾られているのだけの貴重な展示車がエンジンをかけられ移動される現場を見ることができたりと、メンバー全員普段見られない歴史車を興味深くじっくりと眺めました。バックヤードに収められている珍しい車も見させて頂き、状態の良いコレクションの多さに圧倒されました。(株式会社東芝 西村 加奈)

 

 

 


15.jpg3月 研修旅行
今年度の研修は、「東京イマドキのものづくり・江戸伝統のものづくりを巡る」とし、1泊2日で実施、東京都台東区を中心に、江東区、千代田区と「ものづくり」をコンセプトとした施設や工房を巡りました。現在のものづくりの発信の仕方、ものづくりの現場と消費者との新たな接点を知ると共に、工房の見学・製作体験では、職人の技の素晴らしさに夢中になって話を聞き、身を以て難しさ、匠の凄さを知ることができました。身近にありがなら触れることの少なかった東京そして江戸のものづくりや工芸品、それを創り出す職人の技、心意気に触れることができ、同じものづくりを担うメンバーにとって多くの気づきを得る、充実した学びの場となりました。(株式会社デンソー 内山 裕佳子 )


今年度最後の定例会では、フィールドトリップ形式で江戸のものづくり研究をしました。
江戸唐紙を扱う老舗の東京松屋では、木版を使った従来的なものに加え、火事が多い江戸ならでは発展した渋紙を使用した型染めのものも実際に触れることができました。また工程紹介のビデオが興味深く、メンバーには明日から使えるネタとして持ち帰るほどの内容が充実していました。
 次に、江戸切り子製作体験を実施した。メンバーは皆デザイナーであることから、自分のものづくり力を過信し、初心者向けではない柄に次々チャレンジするも、まったく思いどおりに仕上がりませんでした。実際に体験したからこそ分かる、匠の技の凄み。切子の線の力強さに魅了されました。
(トヨタ自動車株式会社 加藤 舞)

 

27期活動を終えて

<メンバーの感想>
JIDAインハウス女性デザイナー研究会に参加をして一番良い経験になったことは普段の自社業務では取り組まない課題をメンバーで考察することにより、考え方や視野が広がったことです。
他業種10名のメンバーとの問題定義や意見交換では自分とは違った価値観を学び、受け入れブレイクスルーをする喜びも味わいました。性別や年齢だけでなく国籍も様々な社員が働く私たちにとって、このような体験はとても有益なことだと思います。来年もJIDAでの活動を通して自身のスキルアップと共に会社への貢献につなげていきたいです。
(日産自動車株式会社 満月 夕姫)

2年間研究会に参加して、本当に充実した活動だったと感じます。26期の活動を終えた1年前、来年もいいテーマが見つかるか、きちんと成果報告会をできるのかと、色々な不安を抱いていたのを覚えています。ですが、いざ27期がスタートすると、半分メンバーが入れ替わっただけで次々と新鮮なアイデアが生まれてきて、いつの間にか不安より楽しさの方が強くなっていました。振り返ってみると、27期らしくテーマ活動を行うことができ、その雰囲気を報告会でも感じていただけたように思います。また、今回の「Newアラサーを定義せよ!」は、同世代の女性が集まって活動するという、この研究会ならではのテーマになったと思います。年齢に関わる、少しデリケートに扱われがちな内容でありながら、アンケート対象をメンバーのごく近い友人にしたことで、第3者の調査では言えないような、赤裸々でリアリティのある意見を抽出できました。その意見をまとめる私たちも、深く共感しながら、ざっくばらんに意見を交わすことで、等身大のアラサー像を分類することができました。
普段の業務では扱わないテーマに、女性だけで取り組めるこの活動は、やればやるほど自分の糧になっている気がして、大変でしたが本気で取り組みたいと強く思えるものでした。このような成長の場を与えてくれたことに感謝いたしますと同時に、今後も女性デザイナーの学びの場としてますます発展することを祈っています。(セイコーエプソン 藤川 裕子)

JIDAインハウス女性デザイナー研究会の醍醐味は、「会社ではできないことを勉強してきてください!」というスタンスだと感じています。
集まった女性メンバーに上下関係はなく、テーマも自由。2年前この活動に加わり思ったのは、せっかく何か活動するのであれば、この場でしかできない、そして男性には理解できない女性の心情や行動を伝えられれば良いなということでした。
今年取り組んだテーマ「Newアラサーを定義せよ!」では、伝えたいことをいかに私たちらしく伝えられるかを考え、それまでの紙ベースでの報告会から離れ、データの中でのキャラクター表現や動きにこだわり時間をかけました。普段の業務の中では、その会社のやり方や時間の制限もありできない作業を、今回JIDAの活動ということで各企業の皆様にご理解、ご容認頂き完遂できたことに本当に感謝しております。そして各メンバーがうまく役割分担し、個性を出しつつもひとつのものにまとめることができた、この爽快なチームワークも今後仕事で生かせる経験だったと感じます。
26期から株式会社デンソーさんの東京オフィスを報告会会場として使用させて頂いたのを機に、会場の収容人数が増え、参加企業以外の会社や団体の方々も多数お越し頂けるようになりました。1年間活動してきたことにより多くの方が興味を持ち、足を運んで頂けることは喜びも大きく、また私たち自身が様々な企業の方々と交流できたことは今後大きな糧になることだと感じています。
最後にこの2年間の活動を通して経験したことを思い返すと共に、これからのJIDAインハウス女性デザイナー研究会の益々の発展に期待したいと思います。
(株式会社東芝 西村 加奈)


■構成メンバー
<委員長>    
    西村 加奈        (株)東芝
<副委員長>
    藤川 裕子        セイコーエプソン(株)
    二瓶 ふみ        キヤノン(株)
<会計>
    稲積 めぐみ    キヤノン(株)
<副会計>
    崔 銀珍        三菱電機(株)
<報告作成(年間>
    満月 夕姫        日産自動車(株)
    二瓶 ふみ        キヤノン(株)
<データ>
    藤川 裕子        セイコーエプソン(株)
<記録/写真>
    越山 明日香    三菱自動車工業(株)
<研修/旅行>
    加藤 舞        トヨタ自動車(株)
    内山 裕佳子         (株)デンソー