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31期 年間活動報告

JIDAインハウス女性デザイナー研究会 31期 年間活動報告

JIDAインハウス女性デザイナー研究会は、インハウス委員会の中に属した、デザイナー育成の場を提供する施策のひとつ。年度(4月から翌年3月)を一区切りとし、年度初めにテーマを決め、月に1度定例会を開催している。

この若手を対象とした異業種活動は「活動で得たものを各社に持ち帰り、業務の革新に活かすこと」を成果目標にしている。各企業の代表として参画するデザイナーが、他社と交流しながら普段の業務から離れた経験をし、課題解決の手法を積み重ねることで知識を広げ、参加メンバーの職能を向上させる「成長」の場となっている。


1.    第31期の活動概要

運営

◆研究会

本会は、公益社団法人日本インダストリアルデザイナー協会の賛助企業でデザイン部署等に所属する女性で構成する。

本年度参加企業(五十音順)
いすゞ自動車(株)/ キヤノン(株)/(株)GKダイナミックス /(株)総合車両製作所 /(株)タニタ /(株)電通 /(株)東芝 / トヨタ自動車(株)/ 日産自動車(株)/ 富士ゼロックス(株)/ 三菱電機(株)

◆メンバーと役割
委員は1年毎の改選とする。

本年度委員

委員長 高橋 美早    三菱電機(株)
副委員長 大立 綾香    キヤノン(株)
運営会 星野 佳織    (株)東芝
(※Web更新兼任) 伊藤 成美    キヤノン(株)
会計
堀田 峰布子    (株)電通
青井 美奈    日産自動車(株)
会場 園田 幸子    (株)総合車両製作所
年間報告書 早瀬 季里    (株)GKダイナミックス
久保田 朋実    (株)タニタ
Web更新
林 千鶴    いすゞ自動車(株)
写真
吉村 知代    三菱電機(株)
陳 文慧    (株)東芝
日程管理 松本 麻美    トヨタ自動車(株)
データ管理 池田 絵里子    富士ゼロックス(株)

活動方針

①    研究テーマ活動
本会は、インハウスデザイナーの視点から通年の研究テーマを設定し、これに沿った活動を行う。
②    異業種交流体験の充実
各社の特色を生かした知見に触れられる場を設け、各自の新しい気づきを促す。

①②の活動を行うことにより、各メンバーのスキルアップと独自視点の研究報告によって参加企業に資することを目的とする。

活動実績

研究会は毎月一回の開催を基本とし、以下の内容で実施した。
■ 定例会(テーマ活動、各企業訪問) 年10 回
■ 集中作業合宿 1 回
■ 研究報告会 1 回

2.    研究活動について

 

背景

◆私たちの100年ライフ

現在50歳未満の日本人は、100年以上生きる時代「100年ライフ」を過ごすと予測されており、日本政府は様々な施策を検討している。

このような社会変化の中でうたわれる「100年ライフ」のポイントは、今までの「教育→仕事→引退」という単一な人生から「マルチステージ」(一人ひとりが理想的な人生のために、いくつになっても学び直し、新しいことにチャレンジしていくこと)の人生へ転換することである。そして、そのために、どのようにこの転換を成功させる意思と能力(自分の資産)を獲得するかが、「100年ライフ」を生きていく上で重要となる。

第31期JIDA女性デザイナー研究会(以下、JIDA女と表記)では、この「マルチステージ」を持つ「100年ライフ」を実現していくにはどうすればよいか、社会人、デザイナー、そして女性として「私たちらしい」解決方法を見出すことを目標に、研究に取り組んだ。

◆人生の可視化

JIDA女メンバーが考える100年ライフとは何か。まず、「夢曲線」(個々の人生とその時の気持ちの浮き沈みをグラフ化したもの)を用いて、それぞれの人生を可視化し、共有を行った。夢曲線を分析すると、人生のターニングポイントに「ほめ」があること、その「ほめ」をきっかけとして、新しい一歩を踏み出したり、決断を行ってきたりしたことが分かった。そこで、メンバーは自分たちにとって「ほめ」が人生のターニングポイントとなっていたように、ほめられることには、「うれしい」以外の効果があるのではないかと考え、調査を進めた。

テーマの深掘り

◆調査

「ほめ」の効果について、既に発表されている事象の収集を行った。

「ほめ」への気づき
■ 自己肯定感を高め、自信を与える。そして、身体・精神の両面に良い効果をもたらす。
■ 教育やビジネスなどのシーンで重要視されている。
■ 脳の中では「報酬」として「喜び」と感じることが、脳科学の分野で明らかにされている。
■ 医療の現場では、リハビリテーションなどを行う際、積極的に「ほめ」を用いることで、運動技能の成績をあげる効果がある。

◆仮説

「ほめ」に対する実体験と上記の気づきを踏まえ、自分の可能性を知るためには「ほめ」が有効なのではないかと仮説を立てた。

◆検証


仮説検証のため、JIDA女メンバーは「最近ほめられたこと」「ほめられたときの気持ち」の記録を行った。そして、各自が蓄積した「ほめ」の共有とその分類、ディスカッションを繰り返すことで、下記の発見があった。

「ほめ」の効果まとめ

■「ほめ」は、自信につながる。
■「ほめ」を可視化すると記憶に留まりやすくなり、「ほめ」に対する感度が高くなる。
■ ほめられ方は、そのシーンによって様々な種類が存在する。
■ ほめ方を工夫すると、心地よいコミュニケーションが生まれる。
■「ほめ」の蓄積・可能性の発見を通し、モチベーションや行動力の向上につながる。
■「ほめ」を分類・分析すると、自分の魅力が明確となる。
■「ほめ」を共有すると、客観的な視点で自分を知ることができ、視野が広がる。
■ 意外なことでほめられると「自分の新たな可能性」の発見になる。

そこで、JIDA女メンバーは、「ほめ」「蓄積・可視化」「分類・分析」「可能性の発見」の一連の流れを繰り返し日常的に行うことで、可能性(自分の資産)の幅が広がり、自分らしい100年ライフの実現につながる と考え、以下のサービスを開発することとした。

提案サービス 「ほめられ銀行」


コンセプト
「ほめ」から始まるサイクル(ほめられ→蓄積・可視化→分類・分析→可能性の発見)を日常的に回し、”100年ライフを生き抜く、自らの可能性の種(=自己資産)の発見”をサポートする。 

仕様
ほめられ銀行は、2つのサービス「スマートフォンアプリ」と「ワークショップツール」で構成する。「ほめ」を自らの資産として銀行へ貯めることにより、ほめられたことが蓄積・可視化されて思い返すことができ、「ほめ」やその内容を分類・分析する手助けを行う。さらに、自己資産の運用方法を知り、自らの可能性を使ってどう生きていくかを考えるきっかけとなる。

■「ほめられ銀行」スマートフォンアプリ


「記帳」、「通帳」、「照会」、「運用」の4つの機能で構成されるアプリケーションツール。手軽に日頃の「ほめ」を記録し、いつでもその履歴を確認できる。蓄積された「ほめ」を分析し、自分の魅力や魅力を発見してくれる人をわかりやすく伝える。また、活躍できる可能性ステージを提案することで、ユーザーの新しい資産を見つける手助けも行う。

 

 

 

 

 

■「ほめられ銀行」ワークショップツール


「資産運用のご案内」、「ほめられ銀行通帳」、「ほめられコイン」、「ほめ図鑑」で構成されるワークショップツール。簡易的に「ほめ」を可視化し、共有することで資産を発見する手助けを行う。「ほめ」に注目することで、ポジティブな気持ちで自己分析ができる。また、他者の良いところを知ることができ、良い環境作りにつながる。

デザインのポイント
■ 世代や職業、性別を問わず活用できる。
■ 気軽に始められ、手軽に続けることができる。
■「ほめ」を可視化し、自己肯定感を高めることができる。
■  可視化した「ほめ」を貯めることにより、新たな可能性を資産へと変えていくことができる。
■「ほめる」・「ほめられる」の循環が活発となり、自分や周りが過ごしやすい環境作りができる。

報告会


2018年3月9日 神田カンファレンス・ルームにて開催。計29団体、62名の方々に参加していただいた。研究内容報告とともにワークショップを実施し、ツールを体験していただいた。

◆アンケート結果・参加者の声

アンケート結果

 
 (回答数=58)

 

参加者の声
■  100年人生をテーマにし、ポジティブに生きるインサイトがあり良かった。アプリも実際に作っても面白いと思います。 (50歳男性)
■ 褒めるという視点で日常や人生を振り返ると思ったよりも多くの発見があって驚かされました。素敵なツールをありがとうございます。教育向けのツールになりそうだなと思いました。(27歳女性)
■ 「ほめる」という着眼点がとても素晴らしい!銀行に例えるのも、アプリも分りやすく自分でもやってみたい。たまに褒められると嬉しく元気が出るものです。(69歳男性)
■ 「ほめ図鑑」により”ほめる”事について深く考えるきっかけになりました。職場でも使ってみます。(50歳男性)
■ アプリ、各コンテンツ、冊子などとてもクオリティが高い。視点がとても面白かった。ワークショップも緊張しましたが楽しめました。(32歳男性)

今後の展望

各自社内での拡散や外部に向けての提案を進めていく。より多くの人に活用していただくため、スマートフォンアプリの使用イメージ動画とワークショップツールのデータを公開する。

 


スマートフォンアプリイメージムービー
■ ワークショップツール  
「資産運用のご案内」と「ほめ図鑑」 
「ほめられ銀行通帳」 
「ほめられコイン」 

◆利用規約

本動画とツールは、職場や家庭内でのコミュニケーションツールとしてのご使用を想定しています。商用としての再配布、無断転載、転売は禁じます。ご意見、ご感想、お問い合わせのある方は日本インダストリアルデザイナー協会までご連絡ください。

公益社団法人 日本インダストリアルデザイナー協会
〒106-0032 東京都港区六本木5-17-1 AXISビル4F
E-mail:jidasec@jida.or.jp
発行日2018年3月9日
発行 JIDAインハウス女性デザイナー研究会31期

3.    異業種交流体験


 

各社の協力を仰ぎながら、31期では新規で参加した企業を中心に下記の内容を実施した。
 
■ 7月 /(株)電通
脳波を活用したツールの体験や、広告のアイデア発想法のレクチャーを開催
■ 8月 / 日産自動車(株)
デザインスタジオ見学、VRやクレイモデルの体験
■ 9月 / (株)タニタ
タニタ博物館の見学、業務用体組成計の計測体験、エクササイズ体験
■  11月 / いすゞ自動車(株)
デザインセンター紹介、いすゞプラザ見学
■ 12月 / (株)GKダイナミックス
榮久庵憲司氏のアトリエ見学、小野寺純子氏講話、2輪の紹介
■  1月 /(株)総合車両製作所
UDラボ見学、車両生産工場の見学

歴史的なものから最新のデザインまで様々なものに触れ、体験することができた一年となった。今年度は特に、新規で参加した企業が多かった年でもあり、現場で働く異業種のデザイナーの方と交流することで、それぞれの企業のデザインに対する思いや価値観の違いに触れ、知見を広げ成長することができた。

4.    31期総括

昨年度、結成30年という節目を迎え、今年度31年目に突入したJIDAインハウス女性デザイナー研究会は、変化しつつある「これからの時代」について考えたいという思いから、「100年ライフ」をテーマに活動して参りました。テーマを自らに起こる身近な問題として捉え、検証を重ねることによって、100年ライフの第一歩として誰もが取り組みやすい「ほめられ銀行」という仕組みを提案することができました。

今年度は参加企業が増え、より多様な業種のデザイナーが集まりました。それぞれの知識やスキル、アイデアが混ざり合い、発展することで、今までになかったものを生み出すことができたのだと思います。また、様々な企業を見学させていただけたことは、とても貴重な体験となり、デザイナーとして視野が広がったと感じております。
JIDAインハウス女性デザイナー研究会は、これからも企業の枠を超えてより多様なデザイナーが集まり、新たな提案を創出する場として継続、発展に努めて参ります。今後とも温かいご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

最後に、本研究で開発しました「ほめられ銀行」のワークショップツール、アプリの説明動画はJIDAのホームページにて公開いたします。広くご活用いただき、より多くの方に私たちの研究の気づきを実感いただければと思います。
( 高橋 美早 三菱電機(株) )

文責:早瀬 季里 (株)GKダイナミックス / 久保田 朋実 (株)タニタ

更新日:2018.08.11 (土) 01:17 - (JST)]