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コラム3「デザイナーの常識、良識、見識」

安藤 孚
東日本ブロック

前回の協会考論(2)では、協会の「綱領」の確認、協会の司令塔である理事(役員)会の役割・責任について記述し、更に「新生JIDA」という協会運営の大改革についてその背景を整理してみた。今回は、「新生JIDA」の検証(現状)と問題点(課題)などについて考えてみたい。
(協会考論から協会論に改めましたー補足)
前回の情報収集(2)では、平成30年の年表を記載したが、今回は、更に日本の経済低迷といわれる「平成30年の経済」を、検証してみたい。

 

協会論(3) 

協会の大改革「新生JIDA」の背景については前回述べたが、更に93年5月の通常総会までの動きについても、詳しく補足しておきたい。

1 新生JIDA直後の理事会

  • 第1回理事会(1993年4/10 土 浜松町)
    今回は協会の大改革。基本方針は、明るい透明な協会。中央集権的運営からの脱皮。
    スリムな組織。会費値下げ。若手の大量入会。機関誌(160号)の一時休止。
  • 第2回理事会(1993年4/25 日 京都大)
    活動計画・運営組織・財政問題。退会者への呼びかけ。会費改定。活動テーマの決め方。
    機関誌に代わるメディア戦略。協会のステータス向上。賛助会員のメリット。事務局のスリム化。
  • 第3回理事会(1993年5/8 土 名古屋)
    退会者の復会。魅力ある、開かれた、健全な、参加し易い行動力野ある協会。旧体制の本部、支部からセンター・ブロックの改名。事務局の経費削減化。
  • 第4回理事会(1993年5/29 土 浜松町)
    総会提出議案「活動方針・事業計画・運営組織・財政計画」会員の若返り。会員活動の場づくり。「第25回通常総会(1993(平成5)年5月29日で全ての議案可決)」
  • 第5回理事会(1993年6/6 日 浜松町)
    理事の役割分担。理事とブロック長の兼務は禁止。 6委員会と5ブロックの代表として「企画推進会議」を新設。 6委員会の理事は、対外的役割の責任者で委員会の代表ではない。

 

2 新生JIDAの確認

2-1 背景
協会運営が中央集権的体制になりすぎ、協会運営の私物化ともいわれ、会費改定も関係し、協会は役員の大幅替えで「新生JIDA」という大改革に踏み切った。

2-2 基本方針
協会再出発の基盤強化として、職能団体のあり方を問い直し抜本的体制改善が急務。
全会員参加の地域活動に主眼をおいて協会体制のスリム化を図る。ブロックの主体的活動とセンターの主導的活動の連携、支援、協力が不可欠。

2-3 組織機能
全員参加のブロック活動(地域活性化)センターは、ブロック活動をサポート、調整する潤滑油の働きでスリム化。センター(6委員会)とブロック(5ブロック)をまとめる「企画推進会議」を新設。理事会は、企画推進会議の議決機関としての責任を負う。理事は、対外的責任を負う意味で委員会の担当理事となる。センターの6委員会は、社団法人としての基本的な活動を行なう。5ブロックは、研究、事業、交流等の活動を行なう。

企画推進会議(6委員会+5ブロック)の統括責任

  • センター
    総務委員会 渉外委員会 会員増強委員会 情報委員会 職能委員会 JIDA大会委員会
  • ブロック
    東日本ブロック 中部ブロック 北陸ブロック 関西ブロック 西日本ブロック

 

3 新生JIDAの現状と課題

3-1 協会運営の改正 (企画推進会議の機能不全)

  • 理事会への提出義務(計画/報告)の不履行
  • 理事会とのコミュニケーション不足
  • センター(対外活動)とブロック(地域活動)の実効性
    (これらが原因で「理事会でのブロック長のオブザーバー出席」の導入が決定した)。

3-2 組織活動に必要なことは「職務分掌」。

職務分掌とは、職務内容、権限と責任や厳守事項、禁止事項、罰則規定等の行動するための留意事項、つまり「ルールづくり」で一般社会では基本的な常識。理事会と企画推進会議との業務内容、役割分担、責任義務等が明確でないことは大きな課題の1つ。

3-3 職能団体としての基本的な活動

旧体制の18委員会から6委員会へのスリム化は理解できるが、教育委員会(当時)、研究委員会、事業委員会、企業委員会という、プロダクトデザインの職能団体活動に深く関連する委員会まで削除するのは如何なものか。

3-4 センター・ブロックのベクトル

職能団体としては、デザインの普及啓発を目指すセンターと地域活性化を目指すブロックについていえば、両者のベクトルの合った強力な連携パワーが最重要事項である。

3-5 社会に広報する協会活動

旧体制時代には、国際デザイン会議(京都国際デザイン会議1973)(名古屋国際デザイン会議1989)はじめ、日本インダストリアルデザイン会議(5回) JIDAデザイン会議(15回)という実績がある。
研究会活動の成果にしても、「JIDA研究発表集録」が、第1回から第11回までは実績を残している(手元資料)。デザイン研究の成果としても素晴らしい実績とも言える。
協会には、デザインの普及啓発を目指す協会の対外戦略を実現する企画についての徹底議論がいま、最重要課題の1つではないのか。
過去には、40周年記念事業として協会は「小冊子」を発行したことがある。
「小冊子」の主な内容は 

  • JIDAはいま(入会のお誘い) 
  • JIDA活動内容
  •  JIDAのネットワーク(海外 官公庁 関係団体 教育機関)
  • JIDA個人会員リスト

しかし、公益社団法人に認定された後の協会のこのような「詳細な社会への広報誌」は、いまない。協会の存在を示す「協会広報の発信」がいま、最優先課題ではないか。
デザインの価値、職能の確立、デザインの健全産業化(デザインの社会的有用性)など社会への発信は、協会の知名度向上にもつながり「会員増強」にもつながるのではないか。

 

情報収集(3)

平成30年の経済を検証 (新聞記事の紹介)
概要 
平成の30年は、どんな時代だったのか。平成の30年間は、経済敗戦の時代。一人当たりのGDPは1位から20位台後半まで後退(日経新聞)
長い平和と繁栄の果てに、気がつけば少子高齢化による国力低下と経済成長の終わりを迎えていた30年間(高村薫)。
将来への備えなく今を楽しみ過ぎた30年。豊かになったとの誤解と共に七割の国民は「中流」と満足した30年(斉藤惇)。
平成と宝永は下り坂の時代。宝永期は、江戸の経済が停滞し大地震を含め自然災害が続き飢饉も起こる(磯田道史)。

  1. 国際的地位 
    平成の30年間で、日本経済の国際的地位は大きく低下した。一人当たりのGDPが、先進7カ国で比較した場合、1989年時点で1位だった日本は、98年に米国に抜かれ2位に転落した。(東京新聞)
    世界第2位の日本経済は、2010(平成22)年には中国に抜かれて世界第3位に転落し4位のドイツも接近してきた。(産経新聞)

  2. 国内のバブル経済
    1985(昭和60)年、先進5カ国はブラザ合意により、ドル高是正の政策協調を進めた。
    円高や財政出動、金融緩和で「ジャパンマネー」が世界に溢れ、バブルの温床ともなった。
    大和証券によると89年、世界の株式時価総額で日本企業は上位30社中21社を占めてNTTがトップ。住友銀行(三井住友銀行)が2位、日本興業銀行(みずほ銀行)が3位など都市銀行が並び、米国ではIBMが6位。(読売新聞)
    1989(平成元)年に、日本はバブルのピークを迎え、日経平均株価は史上最高値を記録。
    地価も上昇企業のボーナスも高騰。誰もが好景気に踊り、経済大国に上り詰めた快感に酔いしれた。バブル経済とは、投機によって土地、不動産や株の価値が実態以上に膨張する現象。やがて限界を超えると急速にしぼみ投機に走った個人や企業は膨大な損失に直面する。(産経新聞)
    1991(平成3)年バブル崩壊。
    最も深刻なダメージを受けたのは金融システム。膨大な不良債権が発生。「失われた20年」と呼ばれる景気の長期低迷に突入し「貸し渋り」「貸しはがし」で中小企業が多数倒産した。
    1997(平成9)年に、北海道拓殖銀行や山一証券が倒産し、銀行の大型再編が進む。そごう、ダイエー、カネボウが倒産。三洋電機、シャープは他企業に経営統合。(産経新聞)

  3. 平成の消費動向
    特徴 
    競争からの脱却 高度成長期の大量生産、大量消費から個の時代 情報化社会での多様な価値観 年功序列・終身雇用の崩壊。つながり 災害とボランティア活動 SNS(交流サイト)の浸透。
    元年〜5年 バブル消費からバリュー(価値)消費への転換 消費の成熟化。
    6年〜10年 消費税5% カーナビゲーションの導入 ネット社会の幕開け。
    11年〜15年 インターネット利用者の急増 低価格のパソコン。
    16年〜20年 「健康」が消費のキーワード リーマンショックの激震。
    21年〜25年 軽量化やパーソナル化の消費生活 「絆」が流行語 東日本大地震。
    26年〜31年 訪日外国人の爆買い「インバウンド消費」。(日経新聞)

  4. 就職戦線と職場 
    就職戦線は、「就職氷河期」「超氷河期」ともいわれ、平成の初めの「売り手市場」から、平成4年ごろから「買い手市場」に転じた。派遣社員やアルバイトなどの非正規雇用が増え、平均所得は長期間下がり続けた。職場では、少子高齢化などによる人手不足。男女差別やセクハラ・パワハラ、過労死などが問題化し、官民共に「働き方改革」に取り組む。(産経新聞)

  5. 国と地方の借金
    国と地方の長期再建残高は、2019年度予算を含めて約1122兆円と見込まれる。平成の30年で4倍超に膨れ上がった。バブル経済末期だった1990年度の60兆1000億円をピークに税収が伸び悩み医療や年金などへの国費支出は3倍に急増。歳出と歳入の開きを埋めているのが主に赤字国債で、09年度には発行額が約37兆円に上った。(東京新聞)

 

雑考 その他                                 

世界の借金は過去最高

国際決済銀行(BIS)の統計によると、2018年末時点で、180兆ドル(約1京9000兆円 京は兆の一万倍)に上り、リーマンショック前の07年から1,6倍に拡大。
国別では 米国28%   中国18%   日本10%  フランス5%   ドイツ・英国 4% イタリア・カナダ 3%  韓国・スペイン 2%   その他21% (読売新聞)

 

更新日:2020.05.28 (木) 01:12 - (JST)]