EAST JAPAN BLOC 東日本ブロック

 

コラム 4「デザイナーの常識、良識、見識」

安藤 孚
東日本ブロック

協会(JIDA)は、1952(昭和27)年にインダストリアルデザイナーの任意団体として設立された後、1969(昭和44)年に社団法人、2012(平成24)年に公益社団法人として認定された日本で唯一のプロダクトデザイナーの全国組織の職能団体である。その後、1966(昭和41)年に発足した日本デザイン団体協議会に所属する他の7団体が、1956(昭和31)年の「日本クラフトデザイン協会」から1978(昭和53)年の「日本グラフィックデザイナー協会」までが夫々設立し、その時点で協会(JIDA)は、主にプロダクトデザインの職域が中心の集団になったともいえる。今回は、公益社団法人について記述したい。

 

協会論(4)

職能団体である協会は、2012(平成24)年に内閣府より認定されたプロダクトデザインの「公益社団法人」である。この認識は、しっかりと受け止め理解することが極めて重要である。
公益法人として活動し的確に運営する際には「違反や違法行為のないよう十分に配慮」すべき心得としても「社会の常識」である。

1 公益法人制度改革の背景

公益法人制度は、1896(明治29)年に制定の民法で「学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する社団または財団」と定められた法人で、公(不特定多数)の利益や公益性の強い事業を行なうために設置される法人であり、営利を目的としないものは主務官庁の許可を得て法人とすることが出来る。この制度導入後、既に123年になる。2007年現在、法人は25,541(社団 12,749/財団 12,792)。2008(平成20)年〜2013(平成25)年で、一般社団法人(登記制)か公益社団法人(認可制)を判断・申請し、協会は公益社団法人に認定された。2020(令和2)年5月現在、公益社団法人4202/公益財団法人5546,,一般社団法人62248/一般財団法人7566  合計 79,562法人
21世紀のグローバル化の競争時代のいま、制度疲労の見直し、官主導から民主導への流れ。一方で2000(平成12)年の「KSD事件(村上元労相の汚職事件 7,300万円の受託収賄罪)を
機に不良法人の一掃化や休眠法人の統廃合、天下りや税の無駄使い、行政法人の削減化などの行政改革論を背景に、2006(平成18)年に法改正となる。

2 公益社団法人の理解

2-1 公益法人と公益性の確保
公益法人とは、学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する社団又は財団であって営利を目的としないものは、主務官庁の許可を得て法人とすることができる(民法34条)。公益法人(社団法人、財団法人)と特殊法人(学校法人、宗教法人、医療法人、社会福祉法人NPO法人など)を含む。公益とは、社会における不特定多数者の利益を目的とすること。社員が共同して一定の活動を行うことにより不特定多数者の経済的利益や精神的満足を得ることをいう(民法)。

2-2 社団法人の選択肢
社団法人とは、人的集合体であり定款に基づいて一定の目的のために結集した人の集団をいう。2006(平成18)年6月公布、2008(平成20)年12月施行の法改正で、2つの選択肢となる。

  1. 一般社団法人 登記制(1階法) 活動の自由度 低いハードル
  2. 公益社団法人 認可制(2階法) 規制の厳格性 高いハードル

2-3 公益目的事業比率要件
公益法人は、不特定多数者の利益追求を目的とする法人のため、公益目的事業比率が50%を超えることが求められている。

 2-4 税の優遇処置
この法人の主たる目的である事業に対して寄附をした場合、寄付者は税制上の優遇処置を受けることができる。

 

3 公益社団法人と協会運営

自由度の高い活動をしたい登記だけで済む「一般法人」を選択するか、規制の厳しい認可制の「公益法人」を選択するか、協会の体質、体力、体制や活動基盤を分析し協会全会員の徹底議論が最重要課題。公益法人制度については「HOTLINE 89号」に詳しく記述されている。特に、センター・ブロックの役員や活動の責任者は必読を勧めたい。会員にはまだ公益性と共益性の理解が徹底されていない。公益活動と共益活動への取り組みも含めて、もう一度委員会・研究会活動の棚卸しの検討が必要かもしれない。

 

4 協会活動と「チェックシート」の活用

2016年6月3日の東日本ブロック運営会で、ブロックの「公益活動の運営」支援のために「公益目的事業のチェックシート」を作成した。2012(平成24)年に協会は、公益社団法人に認定されました。公益社団法人は、公益目的事業比率が50%を超えることが求められています。公益目的事業として実施していたものが共益目的事業であると認定されると公益目的事業比率が基準を下回ることになり、最悪認定取り消しなどの事態に発展する可能性がある。事業活動責任者は必ずこの「チェックシート」で、事前確認をしてください。

「公益性の判断 共通理解 チェックシート」
「共通のチェックシート」

  1. □ この活動が、不特定多数の者(一般市民)の利益の増進に寄与することを主たる目的として位置づけ適切な方法で明らかにしているか。
  2. □ この活動に参加する機会が一般に開かれて(公開性)いるか。
  3. □ この活動の実施にあたって、公正性(利害関係者の排除、客観的方法による決定など)を確保する仕組みが存在しているか。
  4. □ この活動の実施にあたって、専門家が適切に関与しているか。講師などに対して過大な報酬が支払われることになっていないか。
  5. □ この活動が、公益目的として設定されたテーマを実現するためのプログラムになっているか。業界団体の販売促進や共同宣伝になっていないか。
  6. □ この活動を外部に委託すね場合、その全てを他者に行なわせること(丸投げ)はないか。
  7. □ この活動の実施にあたって、成果の結果や理由などを公表しているか。

留意事項

  1. 受益の機会が一般に開かれていても結果的に特定多数に限られた場合は「共益性」とみなされる。
  2. 特に、イベント後の親睦会については、会計処理の扱いに注意すること。

 (以上、公益性判断のチェックシート)

 

5 協会運営での留意事項

  1.  パブリシティの積極的活用
    公益活動に重要なことは「マスメディア」の活用。協会は、マスコミに対する多様な強いパイプづくりや、組織的・戦略的な「マスメディアネットワーク」への取り組みが最重要課題であり、積極的プレス広報は「イベントの集客力」の上でも欠かせない。
     
  2.  財政基盤の強化
    豊富な活動資金で有効な公益活動がダイナミックに遂行できる。現状のような参加会員の「自腹を切る」や「タダ働き」などは健全な公益社団法人の活動とは言えない。特定プロジェクトの外部委託も、事務局強化も、協会の財政基盤の強化が最重要事項の1つともいえる。
     
  3. 寄附収入・受託事業収入
    公益法人のメリットは「寄附収入」と「事業収入」。そのためにも、一般市民や関連団体などへの幅広い「協会メッセージ」の展開が最重要課題の1つであり、効果的に行動できる協会の体質、体力、体制が重要。

 

情報収集(4)

「超高齢化社会の課題を解決するための国際会議」 (2019/11/13 日経新聞)より
人口構造の大きな変化が社会にもたらす課題を解決する方策を議論。
日本は世界的に見ても高齢化が進み、人口の3割近くが65才以上の高齢者。2050年を超えると更に4割近く真で増える。高齢者の活力を高めることが社会全体の活力を高めることにつながる。——(中略)——  日本の高齢者は他国と比べても働く意欲が高い。60代前半の男性の8割超に働く意欲がある。他国では6割程度、フランスでは3割程度にとどまる。——(中略)——労働力人口は、現在約6700万人だが、40年には5500万人を割り込む見通し。働き手が減るとマクロ経済の供給面、生産面で成長が制約される。現役の労働者が減ると社会保障制度の持続可能性も低下する。現在十分に活躍していないひと達の労働力率を高めることが必要だ。30代女性は現在4人中3人程度しか活用されていないが、40年に90%近くまで高めていく。高齢者
は60代前半の男性に加え60代後半の労働力も70%超まで持っていく。そうすれば40年でも約6200万人の労働力人口が維持できる。——(中略)—— 現在の平均寿命は男性81才、女性87才。この寿命に職業寿命や投資家としての寿命を近づける。課題の1つが定年制度。日本では30人以上を雇っている企業の9割に定年退職制度がある。うち8割は定年を60才と定めている。——(中略)—— 年功序列の賃金制度も見直さないと行けない。年功賃金は最初の10年程度は合理的だが、その後は年齢や勤続年数と賃金の関係を弱めていくことが必要。——(a(中略)——地域社会で高齢者が活躍する仕事の1つに民主委員がある。個人と行政の橋渡しをする役割で人生経験や人情の機微に通じていることが求められる。経験豊かな高齢者が担う仕事としても適切。(日本私立学校振興・共催事業団理事長 清家篤)

 

雑考 その他                                 

1    データ (2019/11/29 読売新聞)

世界人口 アジア アフリカ 欧州 南米 北米
2019年 77億1348万人 46億人 13億人 7,4億人 6,4億人 3,6億人
2030年 85億4848万人 49,7億人 13億人 7,4億人 7億人 3,9億人
2050年 97億3503万人 52,9億人 24,8億人 7,1億人 7,6億人 4,2億人
2100年 108億7490万人 6,4億人 42,8億人 6,2億人 6,7億人 4,9億人



以上