JIDA

第48回「電鋳」

 

2009年5月19日
株式会社イシワタ/平田氏ほか
参加者:24名
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[電鋳とは]

『電鋳』は電気鋳造の略。EFで表され、エレクトロフォーミングともいいます。
電気化学的に金属製品を作る技術です。電気分解された金属イオンを、原型の表面へ
必要な厚さに電着させ、モデルの形状や表面を極めて忠実に再現する事ができます。
その転写性の高さは、自然物の和紙や皮模様の質感、サブミクロンの凹凸である
ホログラムの輝きまでを、忠実に再現するほど群を抜いています。
電鋳技術そのものはかなり古くから使われてきましたが、電気めっきの進歩、
母型製作技術の開発などによってめざましく発展し、精密な複製が必要な場合や
高級感のある製品に広く利用されるようになりました。


[電鋳の種類]

・銅電鋳(Copper Electroforming)
・ニッケル電鋳(Nickel Electroforming) 
・銀電鋳(Silver Electroforming)
・金電鋳(Gold Electroforming) 


[電鋳の利点]

・金属表面に天然素材も含めて、多様な質感の表現ができる。
・適材を選ぶことにより、正確な電鋳を得られる。
・表面状態は如何なる方法よりも正確に複製できる。
・形状や大きさに制限がない。
・型を増やすことで、1個〜多数まで容易に生産できる。
・種々の金属をはさんだサンドイッチ状のものも製造できる。
・継目なしの管や中空部品を造ることができる。


[電鋳の欠点]

・他の方法に比べ、試作までの時間は短いが、量産に若干時間がかかる。
・形の凹凸が高いと、均一の厚さに電着するのが難しい。


[電鋳の工程]

1、オリジナル準備(写真、データーなどを準備)
*写真や元になる絵を作成用意
2、原型製作(それぞれのオリジナルから原形(マスター)を制作)
*アクリル・石膏・ゴム等で、原型製作
3、生産型製作(母型から受注数に応じた生産型を制作)
*電鋳で型を増やす
4、離型処理(電鋳後に型と製品の分離を容易にするための前処理)  
5、電解(電解浴にて製品を生産)
*メッキの厚さは、0.2〜0.4mm位。表面精度1ミクロン以下を再現 
6、生産型から離型(製品と型の分離)
7、仕上げ加工(外形加工やめっき・着色処理・塗装などの表面仕上げ加工)
8、検査
9、完成


[電鋳の用途]

・日用品、美術工芸品(化粧品容器、室内装飾用品、紋章、バッチなど)
・ネームプレート
・工業用品(精密金型、スタンパーなど)
・記念品
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工場見学では、多くの電解槽の中で沢山の電鋳製品が作られていました。
離型、仕上げ加工では想像以上に人の手が入っていました。大量に生産する製品についても、
工芸品のように、職人の方一人一人の手技がしっかりと封じ込められているように感じました。
電鋳はまさに「古くて新しい技術」として、非常に可能性を感じる勉強会になりました。