JIDA正会員・賛助会員の皆様
職能委員会 担当理事 横田英夫
職能部会 部会長 堀越敏晴
(D-8デザイン保護研究会委員)
JIDA 職能委員会・職能部会 広報
◆デザイナーの成果物であることを証する"D-8創作証"制度の運用を始めます◆
■D-8創作証制度とは
デザイナーの創作物はほとんどが知的財産権の対象と考えられます。しかしながら、制作途中の創作物、企画書、概念(イメージ)図、プレゼンテーションそのものなど、権利の対象と見なされていない創作物も少なくありません。最終成果物以外のこうした創作物についても権利の存在を明らかにしていこうという意図から作られた制度です。
創作物に視覚的なしるし、創作証マークを貼ることによって、創作者が存在することを示し、その権利を護ることを目的にD-8デザイン保護研究会によって作られた制度です。
*創作証マーク画像は、近日中にJIDAのWEBで公開いたします。
(*D-8はデザイン8団体で組織する協議会です。D-8デザイン保護研究会はその中の一組織です)
■創作証制度の生まれた背景
一旦不採用とされたデザインが後日無断で使用されたり、類似したデザインが市場に出るといったケース、提案書、企画書、プレゼンテーションの内容が改ざんされ流用されるケース、展示会出品物が写真に撮られ流布、コピーされるなどのケースに、D-8デザイン保護研究会は、デザインのジャンルを越えて歯止めをかけたいと考えました。画家が絵にサインを入れるように、デザイナーが自身の責任の上で創作物に、その証としてのマークを貼る行為を広めていこうという活動です。
デザインには匿名性が求められます。このことが無断使用や流用といった、他者の創作物を尊重する意識をクライアントとデザイナー双方に育ちにくくしている要因と考えられます。しかし、匿名性という理念よりも、デザイナー個々のオリジナリティを尊重する方向に舵を切った現代においては、創作証を貼る行為によって「知的財産権の対象としてのデザイン」という明確な立場を広めて行く必要性を強く感じ、この制度づくりに踏み切った次第です。"D-8創作証"が創作者の存在をアピールする機能を持ったツールとして育っていくことを目指しています。
■会員の皆さまのご意見を募ります。
現に意匠登録制度、著作権制度、創作寄託制度などが存在するなかで、創作者、デザイナーとして、創作保全の方法は多様であるべきと考え制度を立案したわけですが、課題もあります。クライアントにどう説明するか、社会的周知をどう図っていくのか、頻繁に他者からクレームをつけられないか、虚偽表示をどう防ぐのか、知的創造活動の産物は社会に返す、皆で共有といった風潮に逆行するのではないか、さまざまな意見があると考えています。今回のテスト運用を通してブラッシュアップを図っていきたいと考えていますので意見をお寄せください。
◆宛先 職能委員会 堀越 t-horikoshi@jida.or.jp
■アンケート結果からの代表的な疑問
Q:どこまでがオリジナルと言えるか?
Q:似たような作品に創作証マークが貼られたら、どのように対応するのか?
Q:創作証へのクレームは誰が責任を取るのか?
これらの疑問は、例えば著作権の(C)[丸の中にCのマーク] Copyrightマークの扱いと同様の疑問と言えます。
著作権の(C)Copyrightマークも著作権者が自ら記載(=自己責任)するものです。
創作証は、著作権の表示ではありませんが、やはりデザイン創作物に対して自らの責任のもとに、貼付するものです。
デザイン創作物は、日本の現行法では著作権の対象となりません。また、意匠権等の法的な申請登録を済ませたもの以外は、契約で書面を作成して創作物の権利の所在を確認する以外は無防備な状態と言えます。このような環境の中では、知的財産権としての保護を受けるための認識を広げていくことが必要と考え、創作証制度はその一つの方法として取り組みました。
創作証マークの貼付は、デザイナーとクライアント、そして社会に向けて、デザインには知的財産権があるという意識を共有していくための意思表示をする行為といえます。
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補足資料:著作物(C)表示の背景
(C)はCopyrightの頭文字です。著作権保護の基本条約『ベルヌ条約』(1886採択)に基づいた日本(1899加盟)やヨーロッパは、著作物が生み出されたと同時に権利が発生するとして、登録制度を採用しない「無方式主義」をとっています。一方、アメリカや他の幾つかの国は登録を必要とする「方式主義」を採用していました。そのため、2つの方式の摩擦を避けるため「万国著作権条約」が制定(1952採択)され、無方式主義の国の著作物も(C)表示をすることで、方式主義の国においても登録されたものとして保護されることになりました。その後、アメリカを含め多くの登録制度の国も『ベルヌ条約』に加盟し、現在ほとんどの国が無方式主義による著作権保護を行なっています。現在、(C)マークは著作権表示の国際記号として残っていますが、表示の有無に関わらず著作物としての権利と保護内容に変わりありません。現状では権利者名および著作物の第一発行年を表示した権利宣言のような意味合いのマークになっています。
*参考文献:東京都知的財産総合センター「中小企業経営者のための著作権マニュアル」
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更新日:2011.11.11 (金) 18:29 - (JST)]