2021年 理事長より新年のご挨拶
JIDA会員の皆様
令和3年、新年あけましておめでとうございます。
昨年は大きな変化の年でありました。ご承知の通り、コロナ禍が世界を覆い未だに深刻な状態が続いています。これによって、世界経済は停滞し、社会は混乱しました。しかし、ワクチンの接種が既に開始され、今後半年から一年程度で社会経済状況は回復するでしょう。勿論、それまでの混乱は覚悟しなくてはなりませんが、朝の来ない夜はありません。
新たな夜明けを迎えた時、私たちはこのコロナ禍で学んだ変化を糧に、新しい社会を生み出す時を迎えます。社会を凍らせたコロナ禍は、デジタル社会の大いなる推進力でもありました。このことによって、私たちは20世紀が作り上げてきた社会生活のモデルが、必ずしも必要とはされていないことを知りました。それは、満員電車に詰め込まれて「痛勤」することも、大都市の高層ビルに定時出社し必死に働くことも必要としない社会モデルを気づかせました。これからは、個々が思い思いの場所と時間で、自由な働き方を選ぶことも可能となりつつあります。勿論、全てがそうなる訳ではなく、また問題がないわけではありません。しかし、私たちは少なくとも「違う選択肢」があることに気づき、それを支えるものが「DX(デジタルトランスフォーメーション)」であるということを知ったのです。
この時、デザインの役割はどうなるのでしょうか。デザインの使命は「創造性を持って、より良い明日を拓くこと」であると私は思っています。この、大きく変化する世界にあって、デザインが果たすべき役割は無限にあるのではないでしょうか。デザインは常に明日を見つめて歩んできました。そして今、私たちの創造性が社会に必要とされています。これからの社会が向かうべきあり方を、インダストリアルデザインが提示していくことが出来ると確信しています。
JIDAは、昨年11月の臨時総会において、「公益社団法人 日本インダストリアルデザイナー協会」から、令和3年4月より「公益社団法人 日本インダストリアルデザイン協会」となることが確定致しました。このことは、今日のインダストリアルデザインの拡がりに呼応するものであり、新たなJIDAの可能性を拓くものでもあります。コロナ禍によって、急速に21世紀型のデジタル社会が進展する今、新たな協会への変化は実に正しい選択ではなかったではないでしょうか。
コロナ禍を超え、新たな社会像構築のために、インダストリアルデザインが重要な役割を果たす時です。今後とも、皆様方と共に、新たなJIDAの構築に邁進してまいる所存です。本年も、何卒よろしくお願い申し上げます。
公益社団法人 日本インダストリアルデザイナー協会
理事長 田中一雄