HOME » Column » スタンダード委員会への想い

スタンダード委員会への想い

スタンダード委員会 委員長・担当理事 金井宏水

きっかけと本音

デザイナーに技術知識が必要か?という問いかけに、一時ある分野では「必要無い」に近い答えが返ってきた時期がありました。

商品開発分野全体では、様々な分野の技術者が活躍をしていますが、時代によって技術分野の重要度が変化しています。機構であったり電気であったり、そして電子、流体・・・・等々、その主流が入れ替わり、今は素材だと言われています。

プロダクトデザイナーには最先端の技術情報が必要だ、と私は考えています。知っていると、それによってデザインの幅が広がるからです。特に素材と加工技術情報は重要です。スタンダード委員会は、私達デザイナーにとって必要な技術情報を入手して共有したい、という目的で2003年に私が立ち上げました。「共有する」というと聞こえはいいですが、小さなデザイン事務所にはなかなか入りにくい最新情報を、JIDAを使って手に入れることができるんじゃないか・・・・?という不届きな魂胆が当時の私の根底にあったことも事実です。まあ動機はともかく、7年以上も続けると、継続の効果というか、実績というような大層な評価をいただくことになり、「スタンダード勉強会」というのはJIDAの継続教育(CPD)にも組み込まれることになりつつあります。

欲しかったサンプル帳

サンプル事業も、元々自分が欲しかったモノをJIDAを使って作ってもらったようなものです。

大企業にいると、欲しいサンプルがあれば電話ひとつでサプライヤーがいくらでも持ってきてくれるんでしょうが、デザイン事務所ではそうはいきません。集めるのも大変ですが、ただ集めただけでは、どれが基本的なもので、その周辺のものがどういう経緯でどのように広がっているのか、また今後どういう方向に向かっているのか・・・・等々、いろいろなメーカーに直接聞いてみないと解らないことがたくさんあります。また、サンプルというのはそれぞれ勝手な形をしていて整理しにくいのと、どんどん変わっていくという点が自分にとっては問題でした。変わっていくというのは進化ですから歓迎すべきことですが、普遍的なものは整理された形でいつでも引き出せる使いやすい形でいて欲しい・・・という願いが私にあり、それを形にしたのが現在のサンプル帳です。

 

3つの事業

委員会を立ち上げて最初に始めたのは勉強会でした。これも当初は、「新しい技術を皆さまに紹介する」という立て前ではありながら、「自分が勉強したい」という目的でやっていました。それでも、やはり同じ気持ちで情報を得たいという人達が大勢いてくれて、その人達に支えられているお陰で今も続けることができているんだと思います。

次に、勉強会で知り合えた素材メーカーや加工メーカーの方達にご協力をお願いすることで、サンプル帳第1弾を創ったのが始まりで、今では第5弾を開発するに至っています。思い返すとあっという間のことでした。

それから3つ目はアーカイブ事業です。すでに60回を越える勉強会を通じて得られた情報を、このままにしておくのはもったいない・・・という発想から、HPに掲載している「さわり」の部分だけではなく、もっと詳細な情報を整理した形で会員の皆さまに提供しよう、と「ライブラリ部会」というのが立ち上がりました。今年度から少しずつまとめて行き、JIDA会員の皆さま全員に無償で提供していきたいと考えています。

 

更に新しい2つの事業

勉強会はJIDA会員だけでアットホームな雰囲気で毎回開催しており、それを楽しみにしてくださる方もおられますが、一方でJIDAには公益性という視点も必要であり、会員ばかりでなく広く一般にも役立つような活動も求められるようになりました。そこで、勉強会を拡大した形のセミナーを開催することになり、2008年度、2009年度と1回ずつ実施しました。初めての2008年度は3回連続「プロダクトカラー」をテーマに行い、2009年度は2回連続で「素材と表面処理」をテーマにしたセミナーとしました。今年度2010年度は現在企画進行中です。

 

 

もう一つの事業は「キッズデザイン」です。六本木ヒルズの回転ドア事故に始まり、この冬、火遊びによる子供の火災死亡事故が多発したことも拍車をかけることになって、子供の安全・安心に政府が力を入れ始めました。経済産業省は数年前からキッズデザイン協議会を立ち上げ、「キッズデザイン賞」事業を進めています。この一連の事業にデザイン団体も参加して欲しいということでJIDAに声がかかり、JIDAとしては当面スタンダード委員会の中でスタートしてみることになりました。何をやるか、まだ全く未知数ですが、経産省としてはクールデザインの一環として、ジャパンデザインの中核概念に育てて行きたい考えのようですので、将来性のある事業ではないかと考えているところです。

 

更新日:2010.10.29 (金) 13:52 - (JST)]

JIDAColumn

コラム